04年のセカンドアルバムもヒットし、05年にはブルーノート・ニューヨークで1週間公演を連日満員にし、上原の演奏を聴いた巨匠たちからの絶賛の声が相次ぐ。世界が注目するピアニストの道をまっすぐに進み続ける上原は、天才という言葉で評されることが多い。だが、自分を支えるのは「努力、根性、気合」だという。天賦の才能を、努力、根性、気合で補強すれば、まさに鬼に金棒。どんな事態に直面しても乗り切れる。
世界を舞台に演奏するようになって気づいたのは、自分が乗り物に弱いというどうしようもない事実。飛行機は怖いし、電車にも車にも弱い。
「ステージしか頭になくて移動のことを忘れてた。私の中では瞬間移動だったみたい」
飛行機の後、さらに車に長時間乗って演奏会場に。疲れと車酔いでぐったりしても、ピアノの前に座れば、いつもの弾くことが楽しくてしょうがない上原ひろみになれる。
「移動続きでこんな思いをするならやりたくないなんて1ミリたりとも思ったことない。自分で笑えてきちゃう。よっぽど好きなんだなあって」
欧州ツアーの後はブルーノート東京でのライブ公演。ピアノとともに、新しい年の新たなステップをパワフルに刻む。
(写真:杉山雅史 C-LOVe)
上原ひろみ(うえはら ひろみ)
1979年、静岡県生まれ。6歳でピアノを始める。99年、ボストンのバークリー音楽大学に留学、翌年ジャズの名門レーベル「テラーク」と契約を結ぶ。03年のデビューアルバム「アナザー・マインド」は20万枚のヒット。現在、ニューヨークと東京を拠点に世界各地で演奏活動を行う。最新アルバムは「ムーヴ」(ユニバーサルミュージック)。
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