2024年9月3日(火)

BBC News

2024年9月3日

アメリカのジョー・バイデン大統領は2日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相について、人質取引と停戦を確保するためのイスラム組織ハマスとの交渉で、十分な対応をしていないと発言した。アメリカは近く、ネタニヤフ首相に新たな合意案を「最終案」として送ると報じられている。

バイデン大統領は、記者からネタニヤフ首相が十分な対応を取っているかと質問されると、「ノー」と答えた。一方でバイデン氏は、アメリカはあきらめず、合意を「できる限り強く求めていく」と付け加えた。

バイデン氏とカマラ・ハリス副大統領はこの日、合意案をまとめるため、米ホワイトハウスのシチュエーションルーム(指令室)で交渉の仲介人と面会した。

米紙ワシントン・ポストによると、アメリカ政府高官はこの最新の提案を「交渉の余地のない最終的な合意案」だとしている。

イスラエルでは、8月31日にガザ地区で新たに人質6人が遺体で発見されたことを受け、ネタニヤフ首相のハマスへの対応をめぐって激しい抗議デモが続いている。6人の中には、アメリカとイスラエルの国籍を持つハーシュ・ゴールドバーグ・ポリンさんも含まれていた。

人質解放に向けた次の段階を協議

2日のシチュエーションルームでの会議の中で、バイデン氏とハリス氏は、共同仲介者であるカタールとエジプトとの協議継続を含め、人質解放に向けた次の段階について話し合ったと、米高官は説明した。

その後に発表された声明の中でバイデン氏は、アメリカはゴールドバーグ=ポリンさんと他の5人の死に「打ちのめされ、憤慨している」と述べた。

「間違いなく、ハマスの指導者たちはこれらの犯罪の代償を払うことになるだろう」

一方、ジェイク・サリヴァン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は1日、アメリカの人質家族らと面会した。ニュースサイト「アクシオス」は、サリヴァン氏がその際、大統領が今週末にも「最終的な」人質解放と停戦の合意案を提示するというニュースを伝えたと報じた。

イスラエル兵のイーダン・アレクサンダーさんは、ガザ地区で人質となっている一人。イーダンさんのアメリカの家族は、イスラエル政府に合意案を受け入れるよう求め、そのタイミングは「今か、もうないか」だと話した。

イーダンさんの父親のアディ・アレクサンダーさんは、合意締結に向けたアメリカの「貢献」に感謝すると述べた。また、自分たち家族がサリヴァン補佐官と会うのは、イーダンさんが昨年10月7日に人質となってから15回目だと話した。

BBCがアメリカで提携するCBSニュースの取材に対し、アディさんは「11カ月経っても結果は同じなのだから、米政府高官は何か違うことをするべきだ」と述べた。

また、ネタニヤフ首相が「短期的な政治的利益のために戦争を長引かせている」と非難した。

「時間だけが過ぎていき、ガザからさらに多くの死体が運び出されている。これは容認できない」

ワシントン・ポストによると、バイデン政権は先の人質6人の殺害を受け、合意の緊急性を高めたという。

ある政府高官は同紙に対し、「このまま交渉を続けるわけにはいかない。どこかで終わる必要がある」と述べた。

また、「取引は頓挫(とんざ)するのか? いや、どちらかといえば、すでにとりまとめの段階に入っていたこの取引に、さらなる緊急性が加わるはずだ」と、この高官は続けた。

アメリカとエジプト、カタールの仲介者はここ数カ月間、ガザでの停戦と、ハマスが拘束している人質の解放に向けて合意をまとめようとしている。

バイデン政権は、ハマスが合意に応じないと批判しているが、アメリカの外交官らはネタニヤフ首相についても、仲介努力を損なう要求をしていると非難している。

ハマスは昨年10月の襲撃で約1200人を殺害し、251人を人質として連れ去った。これを機に始まったイスラエルの軍事作戦により、4万人以上のパレスチナ人が殺されたと、ハマスが運営するガザ地区の保健省は発表している。

この戦争に対するアメリカの対応は、バイデン政権と、11月のアメリカ大統領選挙で民主党候補となったハリス氏に影響を与えることになった。党内の親パレスチナ派は停戦を求めている。

ハリス氏と対決する共和党候補のドナルド・トランプ候補は、ハリス氏とバイデン氏が合意をもたらすことができなかったことが、先週末の人質殺害につながったと非難している。

(英語記事 Netanyahu not doing enough to free Gaza hostages, says Biden

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c935xel3qk3o


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