2024年9月3日(火)

BBC News

2024年9月3日

ウクライナの首都キーウで2日、ロシア軍のミサイル攻撃があり、学校や地下鉄駅の入り口などが被害を受けた。この日は新学年の初日で、攻撃は子供たちが登校する数時間前に行われた。

キーウのヴィタリー・クリチコ市長は、水処理施設と、シェルターとして使われていた地下鉄駅の入り口が攻撃を受けたと明らかにした。大学1校と他の学校2校も損傷したという。

ウクライナ軍は、22発の巡航ミサイルと弾道ミサイルを破壊したとしている。

地元当局によると、破壊されたミサイルの破片で3人が負傷した。

キーウの子供たちが新学期を迎え、お祝いムードに包まれる中での攻撃となった。

教師や保護者は音楽を流しながら普段通りに振る舞い、笑顔の生徒たちを出迎えた。

保護者の1人は、ミサイル攻撃の間は自宅に娘と身をひそめ、その後学校に娘を送り届けた。自分たちは「この国は無敵」だということを改めて示していると、この保護者はBBCに述べた。

「子供たちは笑顔だが、この負担を背負う教師たちの顔には緊張が見て取れる」、「子供たちにとって本当の休暇となるよう彼ら(教師)がしてくれたすべてのことに、すごく感謝している」

小学校に初めて通う6歳の娘を送り届けたイェウヘニアさん(33)にとっては、恐怖の日となった。

「娘の手は震えていた」と、彼女はロイター通信に語った。

「私たちのアパートには煙の臭いが漂い始めたけど、それでも学校に行かなければならないでしょう? 私たちはウクライナ人なのだから」と娘に言い聞かせたという。

被害を受けた大学に通うアリーナさんは、空襲警報が鳴り響いてみんなが寮の防空シェルターに逃げ込む際に「叫び始めた」と、ウクライナのテレビ局に語った。

ウクライナ軍が上空からの危険がなくなったと判断するまで、空襲警報は2時間近く鳴り続けた。

「みんなすごく怖がっていた」とアリーナさんは述べた。複数の爆発音の後に炎が上がっているのが見えたという。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、子供たちやその家族、教師にとって新学期初日は「1年で最も重要な日の一つだ」と述べた。

「今日機能しているすべての学校、すべての高等教育機関は、国民の回復力とウクライナの強さを証明している」と、ゼレンスキー氏は自身のテレグラム・チャンネルで述べた。

数時間にわたり、ウクライナ全土では警戒態勢が敷かれた。隣国で北大西洋条約機構(NATO)加盟国のポーランドは、ロシアの空爆が続く間、自国の領空を保護するためにNATOの航空機だけでなく自国の航空機も展開したとしている。

ロシア軍、ウクライナ東部ドンバス地方で「加速」か

米シンクタンク「戦争研究所」(ISW)のデータに基づくAFP通信の分析によると、ロシア軍は先月、ウクライナ領内で447平方キロメートルにわたって前進した。1カ月間の前進の規模としては、2022年10月以降で最も大きいものだった。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、自軍はウクライナ東部ドンバス地方で「長い間」「このようなペース」で前進していなかったとし、1日あたり数平方キロメートルのウクライナ領土を占領していると述べた。

こうした中、ウクライナ軍が8月6日に突然の越境攻撃を仕掛けたロシア西部クルスク州では、ウクライナ軍の進軍スピードは低下している。ウクライナは直近の説明で、100の集落を含む1294平方キロメートルのロシア領土を制圧していると主張。600人近いロシア兵を捕虜にしたともしている。

しかし、プーチン氏は、こうした攻撃はロシア軍によるウクライナ東部への進軍を阻止するものではないとし、ロシア軍は「久しぶりに」最速の速度で前進していると主張した。

「(ウクライナは)ドンバス地方の複数の重要な地域における我々の攻撃を止めることを想定していた。結果はみての通り(中略)我々の前進を止められなかった」

ウクライナ国内では、クルスク州に越境攻撃を仕掛けたことで、重要な時期に、ドンバス地方の前線から熟練部隊が配置転換されたとの批判の声も上がっている。

ゼレンスキー氏は2日、攻撃は「計画通り」に進んでいるとし、東部前線が受ける圧力を軽減できる可能性があると主張した。

(英語記事 Russian missiles target Kyiv on first day of school year

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cgedp4x5gxqo


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