2024年9月3日(火)

BBC News

2024年9月3日

エッフェル塔にオリンピック・リングを残したい――。パリのアンヌ・イダルゴ市長のそんな発言が、激しい議論を引き起こしている。

パリのシンボルのエッフェル塔には、7月26日のパリ・オリンピック(五輪)開幕前に、大会のシンボルの五つのリングが設置された。リングは全体で幅29メートル、高さ15メートル、重さ30トン。

9月8日にパリ・パラリンピックが閉会した後、撤去される予定だった。

しかしイダルゴ市長は先週末、仏紙ウエスト・フランスの取材で、五大陸を象徴する青、黄、黒、緑、赤のリングを残したいと発言。現在の直径9メートルの各リングは重すぎるため、いずれ軽いものに取り換える意向を示した。

市長は、大会期間中に「フランス人は再びパリに恋をした」と主張。「このお祭り気分が残る」ことを望むと述べた。

そして、「決定権は私にあり、IOC(国際オリンピック委員会)の同意も得ている」、「あれ(リング)はエッフェル塔に残る」と付け加えた。

市民らから賛否の声

パリ市民や観光客の中には、市長を支持する人もいる。ソレーヌと名乗る若い女性は、「エッフェル塔はとても美しくて、五輪リングが彩りを添えています。こういうふうに見えるのはとてもいい」と、仏ラジオ局「フランス・ブルー」のウェブサイトで述べた。

一方、地元住民のマノンさんは、「まったくひどいアイデアだ」と批判。「歴史的モニュメントなのに、なぜリングで汚すのか? オリンピックのためにはよかったが、もう終わったのだから、前に進むべきだ。撤去して、エッフェル塔を以前の姿に戻すべきではないか」とフランス・ブルーに話した。

クリストフ・ロバンさんは、エッフェル塔に1925~36年、仏自動車メーカーのシトロエンの広告が掲げられていたことにXへの投稿で言及。イダルゴ市長は計画を進める前にパリ市民に相談すべきだったとした。

イダルゴ市長の大胆な改革と物議

エッフェル塔は1889年、万国博覧会に合わせて建てられた。錬鉄製の格子のタワーは当初、パリの芸術家や知識人らに強く批判されたが、今では「光の街」のシンボルとして多くの人に親しまれている。

2014年からパリ市長を務めているイダルゴ氏(社会党)は、大胆な改革で知られ、時に物議を醸している。同氏によって、セーヌ川の川岸を含む多くの街路は歩行者天国となった。

昨年には、レンタル電動スクーターの禁止をめぐる市の住民投票で圧勝。ただ、投票率は8%にも満たなかった。

今年2月にも、スポーツ用多目的車(SUV)の駐車料金の大幅値上げについて是非を問う住民投票でも、イダルゴ市長は再び勝利した。しかし、SUVという分類は誤解を招くもので、多くのファミリー向け車両も影響を受けるとして、ドライバーの団体などがこの計画を非難。環境相も「懲罰的環境保護主義」に当たると述べた。

イダルゴ市長はまた、パリ五輪の開幕直前、セーヌ川で泳いでも安全だと証明しようと、自ら川に入った。しかし、五輪期間中には大雨の影響もあって、セーヌ川で開かれるトライアスロンがたびたび延期された。パラリンピックでも、9月1日に予定されていたトライアスロンが、水質不良のために24時間、延期となった。

(英語記事 Row over plan to keep Olympic rings on Eiffel Tower

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cy762ngyj84o


新着記事

»もっと見る