2024年9月3日(火)

BBC News

2024年9月3日

パリ・パラリンピックは競技5日目の2日、日本勢が車いすラグビーとバドミントンの男女で計3個の金メダルを獲得した。陸上女子と競泳男子でもメダルを勝ち取った。

車いすラグビー、6大会目出場で念願の金

男女混合で行われる車いすラグビーの日本代表は、2016年リオデジャネイロと前回東京の2大会連続で銅メダルを獲得。今大会は金メダルを目標に掲げてきた。

予選(8月29~31日)ではドイツに55-44、東京大会銀メダルのアメリカに45-42カナダに50-463連勝。1日の準決勝では、強豪オーストラリアを接戦の末に52-51で下し、初めて決勝に進んだ。

決勝の相手は、予選で戦ったアメリカ。日本は第1ピリオドで相手に連続トライを奪われるなどし、11-14とリードされた。しかし第2ピリオドで、最年少22歳の橋本勝也の4トライや、守備のパスカットなどで24-23と逆転した。

第3ピリオドに入ると、日本は一時アメリカに逆転を許した。だが、主将・池透暢のトライですぐに追いつき、35-32とリードして最終第4ピリオドに。堅い守りと素早い攻めで点差を徐々に広げ、48-41で試合が終了。悲願の金メダルを獲得した。

選手たちは笑顔で抱き合い、手を振りながらコートを回って観客の歓声に応えた。アメリカの選手たちとも抱き合い、互いの健闘をたたえた。

試合後のインタビューで池は、「目標としていたみんなの夢がかなった最高の瞬間で、最高の喜びがここにありました」と興奮した表情で話した。序盤で3点リードされる展開になったことについては、「僕たちのこれまでの積み重ねた年月は3点に負けるものじゃないんで、絶対にあきらめないつもりで1点1点追いつこうと思いました」と振り返った。

そして、「アスリートとして最高の喜びをこの場所で感じられて本当に幸せですし、この会場と日本、世界中で応援してくれた方々に本当に感謝したいと思います」と笑顔を見せた。

6大会連続出場の日本は、これで3大会連続でメダルを手にした。

この日は3位決定戦もあり、オーストラリアが50-48でイギリスを破って銅メダルを獲得した。

バドミントンの里見紗李奈は2大会連続で金

バドミントン女子シングルス(車いすWH1)では、里見紗李奈が2大会連続の金メダルを獲得した。

決勝の相手は東京大会と同じタイのスジラット・ポーカン。里見は第1ゲームを18-21で取られたが、第2ゲームは積極的に仕掛けて点差を広げ、21-13で奪取した。

勝負の第3ゲームでは、里見は中盤でリードされたが、背中を大きく反らせた姿勢から打つネット際へのショットなどで5ポイントを連取し逆転。21-18でこのゲームを奪い、優勝を決めた。

里見は試合後のインタビューで、「3年間この日のためにがんばってきたので、優勝できてすごくうれしいです」と感極まった様子で話した。

所属するNTTグループのウェブサイトによると、里見は中学の部活でバドミントンをし、高校3年の時に交通事故で車いす生活になった。自宅近くのパラバドミントンチームで活動を開始すると、すぐに頭角を現した。

里見は前日、山崎悠麻と組んだ女子ダブルスで中国ペアに敗れ、銀メダルを手にしたものの、悔しさを言葉にしていた。

この日のインタビューでは、「ダブルスで負けてしまったぶん、シングルスだけは金メダルを日本に持って帰りたいなと思っていたので、それが実現できてすごくうれしいです」と話した。

3位決定戦は中国の尹夢璐が勝ち、銅メダルを獲得した。

バドミントンの梶原大暉も大会2連覇の金

バドミントン男子シングルス(車いすWH2)では、梶原大暉が東京大会からの2連覇を果たし、金メダルを手にした。

決勝では香港の陳浩源と対戦。梶原は車いすでの素早い移動と正確で力強いショットで、序盤7-0と大きくリードし、第1ゲームを21-10で奪った。

第2ゲームも梶原は相手を圧倒し、21-10で奪取して優勝を決めた。

梶原はこれでシングルスの連勝記録を125に伸ばした。前日の男子ダブルスでも、村山浩とのペアで2大会連続の銅メダルを獲得した。

NHKによると、梶原は13歳の時に自転車で交通事故に遭って右足のひざから下を失い、事故後にパラバドミントンを知って打ち込むようになった。

3位決定戦は韓国選手同士の試合となり、キム・ジョンジュンが勝って銅メダルを手にした。

円盤投げで初出場の鬼谷慶子は銀メダル

陸上女子の円盤投げ(座位F53)では、初出場の鬼谷慶子が銀メダルを勝ち取った。

決勝は8人が6投して競った。鬼谷は1投目で15.69メートルを出し、自身がもっていたアジア記録を更新。さらに2投目に15.78メートルをマークして、記録をさらに伸ばした。これがこの日のベストとなり、2位を決めた。

金メダルは17.37メートルのパラリンピック記録を出したブラジルのエリザベト・ロドリゲス・ゴメスが獲得。銅メダルはウクライナのゾイア・オフシーが勝ち取った。

鬼谷は競技後のインタビューで、「自分でも夢なんじゃないかなというくらい、いい記録が出て、うれしい気持ちでいっぱいです」、「練習でもほとんど投げたことがない記録なので、本当に信じられないという感じです」と喜びを語った。

クラウドファンディングのサイトの自己紹介によると、鬼谷は学生時代に陸上の投てき競技をしていたが、20歳でビッカースタッフ脳幹脳炎を突然発症。首や体幹に力を入れ続けることができなくなり、手足にもまひがあるため電動車いすでの生活になった。目標をもって打ち込めるものを探し、「座位投てき」に取り組んできた。

競泳の山口尚秀が2大会連続のメダル

競泳男子100メートル平泳ぎ(知的障害)では山口尚秀が銅メダルを獲得した。東京大会この種目では金メダルを勝ち取っており、2大会連続でメダルを手にした。

世界記録保持者の山口は、決勝で50メートルをトップで折り返した。しかし後半、カナダのニコラス・ベネットと、オーストラリアのジェイク・ミシェルに抜かれ、3位でフィニッシュした。タイムは1分4秒94だった。

金メダルはベネット、銀メダルはミシェルがそれぞれ勝ち取った。

パラサポWEBによると、山口は3歳のとき、知的障害をともなう自閉症と診断された。幼いころから祖父母と歩行浴に通って水に親しみ、小学4年からスイミングスクールで水泳に取り組んだ。

(英語関連記事 Paris Paralympics 2024 medal results

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/czjy2llndzyo


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