2024年12月22日(日)

お花畑の農業論にモノ申す

2024年9月10日

 新米の収穫が本格化し、スーパーマーケットなどでの「コメ不足」が解消されることが期待されている。ところが、「新米の価格上昇」といった報道もなされ、いまだ消費者の不安は続く。コメを手に入れられない不安に、国や企業は何ができるのか、短期的・長期的視点から考えてみたい。

「コメ不足」は解消へと向かうのか(YuanruLi/gettyimages)

情報に混乱する消費者

 本年産の収穫は例年よりも早く本格化している。産地から伝えられる情報では、作柄、品質ともにどうやら悪くはなさそうだ。

 大型の台風が列島に接近、上陸かと危惧されていたし、米の需給状況は品薄で2023年産のスポット価格が急上昇中なのだから、「災害を避けて、今が刈り時、売り時」と判断するのは当然だろう。

 一方、メディアの報道ぶりであるが、「依然として品薄、高価格」「新米出荷、店頭に」の両睨み、半身の構えだ。

 ここで、改めて報道と流通業者、消費者の仕入れや購買行動を考えてみたい。

 仕入れには、「契約仕入れ」と「その都度仕入れ」がある。契約仕入れとは、文字通り供給者と契約を結び、年間の数量や価格をあらかじめ決めて、定期的に仕入れていく形だ。

 一方、その都度仕入れは、いわば「スポット買い」で、過剰の時にはより安く買え、〝安売り〟の客寄せ目玉商品にも使えて利益を出せるが、不足時は足元を見られて、高値買いや欠品も起こる。スポット買いとは、在庫リスクは覚悟の上の商法のはずなのだ。

 どちらを選ぶかは経営の選択だ。しかし、話題やニュース画像になるといって、「その都度仕入れ =店頭に米がない」ばかりをフォーカスするとミスリードになるのではないか。特にコメは基礎的食料でもありバランスと客観的、複眼的な報道でなければパニックにも繋がる混乱を招きかねない。収穫および供給が「年1回」というコメの特殊性も考慮に入れるべきである。


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