2024年10月6日(日)

BBC News

2024年9月12日

ウクライナ訪問中のデイヴィッド・ラミー英外相は11日、BBCのインタビューに応じ、ロシアにイラン製ミサイルが供給されていると指摘し、そのことで、ウクライナが西側供与の長距離ミサイルをロシア国内への攻撃で使用することをめぐる議論が変わったと述べた。

ウクライナの長距離ミサイル使用をめぐっては、アメリカのジョー・バイデン大統領が10日、制限解除について記者団から問われ、政権として「今それを調整中だ」と答えた。ただ、決定事項はまだ何も発表されていない。

ラミー氏は11日、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官とロンドンで会談後、同長官と共にウクライナの首都キーウを訪れ、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会った。

ゼレンスキー氏は、西側から供与された武器の使用制限の緩和を繰り返し求めている。一方、アメリカとイギリスは、戦闘拡大への懸念から、それぞれがウクライナに提供した長距離ミサイルをロシア国内の目標に対して使うことを認めていない。

ラミー氏はBBCのインタビューで、イランによるロシアへの弾道ミサイル供給によって、ロシア軍が「ウクライナのさらに奥に侵入」することが可能になるとし、「明らかに議論が変わる」と述べた。

また、「それは非常に危険なことだ」とし、「ロシアは自分たちの提携国と協力しており、それによって弾道ミサイルがイランからロシアに運ばれている。私たちにとっては、ウクライナが努力して勝利するため、さらに支援することが重要だ」と話した。

イギリスはウクライナに対し、射程距離約250キロメートルのミサイル「ストームシャドウ」を供与している。これまでは、ウクライナ領内のロシア軍への攻撃でしか使われていない。

ウクライナの指導者らは、ロシアの滑空爆弾の発射を止めるため、ストームシャドウでロシアの空軍基地を攻撃する必要があるとしている。滑空爆弾は破壊的な威力をもち、ロシア領土の奥深くから発射されることが多い。

米英首脳が使用許可について協議か

キーウでは同日、3カ国外相の合同記者会見が行われた。

アメリカとイギリスが長距離ミサイルの使用を認めるかについて、ラミー氏は言及を避けた。一方で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を「有利にするつもりはない」と述べた。

ブリンケン氏は、ジョー・バイデン米大統領が13日にホワイトハウスでキア・スターマー英首相と会談する際、長距離ミサイルの使用について話し合う可能性が高いと述べた。

戦闘拡大の危険性について質問されると、ブリンケン氏は、「ロシアがイランから弾道ミサイルを手に入れていることが今や分かっている。それにより、ロシアのウクライナへの攻撃はさらに強まるだろう。戦闘を拡大させる行動を取るとすれば、それはプーチン氏とロシアだ」と答えた。

ウクライナのアンドリイ・シビハ新外相は、「イランから弾道ミサイルがロシアへ移転される可能性が報告されているなか、その文脈において(長距離ミサイルの使用制限解除は)重要なことだ」と話した。

こうしたなか、イランのアッバス・アラグチ外相は、ロシアへのミサイル供給を否定。西側諸国が「誤った情報と欠陥のある論理に基づいて行動している」と非難した。

アメリカは、ロシアによるウクライナ本格侵攻が2022年2月に始まって以来、紛争拡大への懸念から、ロシア国内の奥まで攻撃できる兵器の供給や使用許可に消極姿勢を示してきた。ただ、制限の一部はすでに緩めており、ウクライナは長距離ミサイルを使って、ロシア軍の砲撃拠点となっている同国国境沿いの地域を攻撃できるようになっている。

ゼレンスキー氏は11日、ロシアとの戦争における勝利は「大部分がアメリカの支援にかかっている」と強調した。

ウクライナには他の友好国も長距離兵器を供給しているが、ロシア国内での使用については、方法と時間に制限を設けている。そうした攻撃が報復を促し、北大西洋条約機構(NATO)加盟国を戦争に巻き込んだり、核紛争を引き起こしたりする恐れがあると考えているためだ。

ロシアは11日、ウクライナによるロシア国内へのミサイル攻撃をアメリカが認めるなら、「適切に」対応するとした。

(英語記事 Iranian missiles to Russia change Ukraine debate - Lammy

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c1m0m9p90v8o


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