超大型の台風11号(ヤギ)がヴェトナム北部に7日に上陸し、当局によると、11日までに少なくとも179人の死亡が確認された。台風は8日に熱帯低気圧に変わったが、その後も大雨や土砂崩れ、洪水をもたらした。首都ハノイでは、ホン川(紅河)の水位上昇で洪水が発生し、住民数千人が避難した。
台風の上陸後、いくつかの省では住民数千人が屋根の上に取り残されたのが確認され、ソーシャルメディアには10日、助けを求める人々の投稿が相次いだ。
台風11号は、過去30年間にヴェトナムに影響をもたらした暴風雨の中で、最も強力なものとなった。アジアで今年発生した最大の台風とも言われている。
ヴェトナムに上陸する前、中国南部とフィリピンでも少なくとも計24人の死者を出した。
ヴェトナム北部では大きな被害を引き起こし、住民150万人が停電に見舞われた。政府は、洪水と土砂崩れが多数の死者を出した主な原因だとしている。
9日には、フート省のフォンチャウ橋が決壊し、数台の車がホン川の中に転落する瞬間を記録した、車載カメラの映像が浮上した。
台風11号は熱帯低気圧に変わって勢いは弱まったが、西に移動するにつれてさらなる混乱を引き起こすと、当局は警告している。
川の近くに住むファン・ティ・トゥイエットさん(50)は、飼い犬2匹を抱えながらAFP通信の取材に応じ、水位がここまで高くなったのは初めてだと説明。「全部失った、すべて無くなった」と話した。
「生き延びるため高台に避難するしかなかった。家具は何も持って来られなかった。すべて水に沈んだ」
今回の台風は時速150キロメートル近い風をもたらし、橋を損壊し、建物の屋根を引きはがし、工場に損害を与えた。広範囲で洪水と地滑りも引き起こし、多数の行方不明者を出した。
当局は北部18省の401村を対象に、洪水と地滑りの警報を出した。タイグエン省とイエンバイ省の一部では、10日の早い時間に平屋の民家がほぼ完全に水没し、住民は屋根の上で助けを待った。
農業省は10日、洪水や土砂崩れなどによるけが人も少なくとも752人に上っていると発表した。
気象専門家らによると、世界の温暖化が進むにつれ、台風はより風速が早くなり、さらに強い雨をもたらす可能性があるという。ただ、気候変動が個々の暴風雨に与える影響は複雑だという。
(英語記事 More than 127 dead in Vietnam super typhoon/Thousands flee Vietnam floods after typhoon hits