イギリス・ロンドンの高級百貨店ハロッズは7日、福島県産の桃の販売を開始した。これは、2011年の東日本大震災によって起きた福島第一原子力発電所の事故後に同県で生産された農水産物への信頼回復を目指した取り組みの一環。
福島県産の桃が欧州の店舗で販売されるのは、今回が初めて。価格は1箱3個入りで80ポンド(約1万5000円)。
イギリスは福島県産の食品の輸入規制を2年前に撤廃したが、文化イベントでの試験販売にとどまっていた。
2011年3月の東日本大震災で発生した大津波は壊滅的、壊滅的被害をもたらした。福島第一原発の原子炉でメルトダウン(炉心溶融)が生じ、放射能が漏れた。現在も同原発の廃炉作業が進められている。
福島県は、日本で第2位の桃の産地。現地の農家は2011年以降、放射能汚染への不安感から同県で作る農産物の販売に苦慮している。
ハロッズでの桃の販売は、福島県産農水産物への国際的な評価を回復するための、福島第一原発を操業していた東京電力による取り組みの一環。
ハロッズでは10月から、福島県産シャインマスカットの販売も始まる予定。東電はアメリカやタイなどでも同様のキャンペーンを展開している。
現在のところ、福島県産の農水産物はすべて、輸出前に放射性物質検査を受けなければならない。
それでも、福島県における放射能の影響に対する不安は依然として残っている。
日本政府は昨年、福島第一原発にたまる処理水を太平洋に放出する作業を開始した。この海洋放出計画は国際原子力機関(IAEA)の承認を受けていたものの、大きな物議を醸した。
日本産水産物の最大の輸入国だった中国は、禁輸措置を取って対抗した。ロシアもまた輸入を停止し、処理水放出計画には透明性がないと日本政府を非難した。
在日米軍は昨年10月、日本産水産物の大口購入を開始した。
こうした中、福島第一原発を廃炉にする取り組みは続いている。10日には同原発の2号機で、少量の、溶けた燃料などが冷えて固まった燃料デブリの取り出し作業が再開された。これをもとに原子炉内の状況を評価することとなる。
燃料デブリを取り出す最初の試みは、機器に問題が生じたため先月に中断されていた。
取り出し作業が行われたのは、震災後の13年間で初めて。
原子炉内の放射線レベルは非常に高く、作業を行うにはこの状況に耐えられる特殊なロボットを製造する必要があった。
(英語記事 UK sells peaches from Fukushima nuclear disaster region)