世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年1月21日

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 張の公開処刑は我々の驚きの最後ではない。今までの挑発は不安定化した核兵器国の脅威に比べれば、大したことでないように見えることになるかもしれない、と論じています。

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 この論説は、広く表明されている張成沢処刑への驚きと、今後の北朝鮮の出方への懸念を表現したものです。特に新しい視点はありませんが、金正恩が何を権力基盤としているのかよくわからない、というのは重要な指摘と言ってよいでしょう。党、軍、秘密警察を含む治安当局が北朝鮮体制を支えている3本柱です。金日成が党、金正日が軍に依拠したのに対して、金正恩は秘密警察である保衛機能に依拠しているのではないかとも思われますが、あくまで推測の域を出るものではありません。

 北朝鮮の今後については、金正恩体制で安定する可能性は小さいでしょう。李英浩の粛清に続き、No. 2の張成沢が処刑されるなど、北朝鮮は政権崩壊過程に入り始めたようにすら見えます。中国は党、軍、治安機関を通じて自分に都合の良い政権を作るべく工作をすると思われますが、北朝鮮の対中不信感もあり上手くやれるかどうかは分かりません。チャが言うような、中国が米国と協力して北朝鮮に臨む、というようなこともないでしょう。ただ、中国に、対北制裁をきちんとせよと要求することは、効果のあるなしにかかわらず、続けて行くべきです。

 北朝鮮が今後どういう挑発に出るか、予測の限りではありませんが、こちら側としては、警戒心を持って諸事態への対応準備をしておくべきで、それが抑止力になります。情報収集も重要ですが、それだけでは不十分です。

 中朝関係について、中国で北朝鮮とのパイプになって、平壌での式典などに頻繁に出席していたのは周永康前政治局常務委員ですが、彼は最近汚職の容疑により自宅軟禁下にあるとされています。中朝関係の今後には、金正男の処遇なども含め諸問題があります。それを処理するパイプが、今はないに等しいのではないかと思われます。

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