2024年11月21日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年2月18日

 いまや全国655都市のうち、400以上の都市で地下水が主な飲料水の資源であることを考えてもこの事実は衝撃だ。

 事実、11年に国土資源部が全国200都市で行った地下水の調査によれば、「極度に汚染」と「やや汚染」の2つの項目に該当したのは全体の約55%で、前年に比べて15.2%も増えていたという。しかも、全体の37%に当たる地下水が、「地下水品質標準」に照らした“汚染”にあたる「Ⅳ類」と”重度の汚染”にあたる「Ⅴ類」に相当し、すでに飲料水には適さないものだったのだ。

 中国はかつてロシアとの間で水の提供をめぐる協議を行ったこともあるが、エネルギー同様、国家の安全保障に深くかかわると断念した経緯がある。水の問題が”水の安全保障”とも呼ばれる所以だ。

 しかし中国の状況が憂慮されるのは、水不足という認識が有りながらも、一方でなお富裕層向けにゴルフ場が乱立し、高級マンションには「プール付き」の宣伝文句が躍っていることではないだろうか。

 持続可能性の指摘がなされるなか、中国の周辺国には「水を求めて中国が移動してくるのではないか」という懸念が広がっている。なかでも深刻なのは中国の南進を恐れる東南アジアの国々である。その象徴とされるのがメコン川流域だ。そうした国々は、中国の南進以前の問題として、もしチベット高原にあるメコン川の源流に中国が手を付けるようなことになればそれこそ死活的なダメージを受けるとの懸念を深めている。

 日本では中国人による水源の買収が話題だが、もとよりそんな規模で中国の水問題が救われるはずもなく、彼らの恐れはそんなレベルではないのだ。

◆WEDGE2014年2月号より










 

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