2024年10月6日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年10月2日

 パパロ・米インド太平洋軍司令官は、最近の米国の同盟国に対する中国の危険行為を引用し、人民解放軍は運用の安全を確保するため国際法規と慣行に従う義務があると強調し、また、他の人民解放軍戦区司令官との協議に加え、呉司令官と再度連絡を取ることを希望していると述べた。この会話はサリバン国家安全保障担当大統領補佐官が中国中央軍事委員会副議長の張又侠将軍と北京で会談した数週間後に成立した。

 バイデン大統領と習近平主席は、近々電話会談し、11月のペルーアジア太平洋経済協力会議(APEC)とブラジル主要20カ国(G20)の機会に対面会談をすると期待されている。

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必要不可欠な米中の対話

 再び米中関係の安定化を目指す両国の努力に関する記事である。両国関係の緊張緩和自体は望ましいことだが、それが、ウクライナ戦争における中国の対露支援が不適切なこと、南シナ海におけるフィリピンに対する中国の対応の先鋭化は看過できないこと、台湾に対する中国の過度な挑発は紛争発生を防止するという共通目標との関係で建設的では無いこと等の基本的スタンスを害しない形で行われること、さらには、そのプロセスが、米国の同盟国に対して疑念を抱かせることが無いようにすること、換言すれば、同盟国との間で十分な意思疎通を取りながら行われることが重要だと思う。

 もちろん、上記に指摘したような点について中国側の理解を得るためには、対話することが必要かつ最も効果的なことは疑いない。また、これらの諸点を米国政府が譲る可能性も、会談で提起しない可能性も極めて低いと思う。

 他方、国際紛争解決に対する米国の関与の意思が急速に弱まりつつある中、米国のコミットメントに対する同盟国・同志国の信頼が揺らいでいることは、米国も十分認識すべきであろう。だからこそ、同盟国との対話の重要性も、従来以上に高まっている。

 この機会に、軍と軍の連絡チャネル再開にこぎつけた経緯について、少しおさらいしておきたい。2021年1月のバイデン政権成立から2カ月後の3月には、アラスカで両国政府高官の初会合が行われ、楊潔篪国務委員とブリンケン国務長官との間で厳しいやり取りがあり、バイデン政権下での米中関係の行方について懸念が広がった。


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