2024年12月2日(月)

JAPANESE, BE AMBITIOUS!米国から親愛なる日本へ

2024年8月15日

 米国の駐日大使を務めたハーバード大学のエドウィン・ライシャワー教授は、世界史において日本が誇るべきことは、非白人、非ユダヤ・キリスト教徒、非インド・ヨーロッパ語族として、初めて近代化を実現し、その普遍性を証明したことだと論じた。帝国主義の時代、日本の指導者と国民が弱肉強食の世界に直面して、主権と独立を確保し、世界に冠たる国家を建設するという全国民的目標を掲げ、殖産興業と富国強兵の政策を推進した結果に他ならない。

 翻って日本の現状を見ると、ライシャワー教授が評価した日本の近代化は、一時期のあだ花に過ぎなかったのだろうか。同教授の後を継いだハーバード大学のエズラ・ヴォーゲル教授は2020年12月に亡くなるまで、日本の課題を指摘する一方で、「G7(主要7カ国)の中でグローバル化の負の側面に最もうまく対処している」と日本を評価していた。

 その理由として、欧米先進国に比較して国内の経済的格差が限定的なこと、国内の制度、秩序、法治が守られていること、国民の一体感が維持され犯罪が少ないことなどを挙げた。

 日本は近代化に伴って発達する自我と、伝統的な社会集団の関係においても、比較的均衡がとれた状況を維持してきた。日本以外のG7諸国では、時として若者、低所得者層、社会的少数派による不満が爆発し、暴動や略奪が発生するが、日本ではこうした事態はあまり見られない。日本を訪問する米国の国会議員やビジネスパーソン、観光客は、自国とは比較にならない清潔さ、公共交通機関の効率性と乗客の行動秩序、エレベーターを降りる際に開閉ボタンを押す他人への配慮、新型コロナ禍で飲食店が用意したマスクケースなどを挙げ、日本国民が共有する他人への「配慮」や「優しさ」を評価している。

 ただし、単なる「日本はすごい!」という自画自賛は「日本は終わった!」という悲観論と同様に、日本の現実を見誤る。そればかりか、事実無根の自信や傲慢に直結し、国を危うくする。


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