2024年10月7日(月)

BBC News

2024年10月7日

レバノンの首都ベイルート南郊で5日から6日にかけ、イスラエルによる空爆が約30回あり、レバノン保健省によると23人が殺害され、93人が負傷した。イスラエルは先月来、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに対する攻撃を強めており、これまでで最も激しい爆撃となった。

イスラエル国防軍は声明で、ヒズボラ支配地域にある「武器貯蔵施設に標的を絞った空爆を実施した」とした。

イスラエルは、自国北部に自国民を帰還させるためだとして、ヒズボラへの攻撃を続けている。イスラエル北部はこの1年、レバノン南部から激しいロケット砲攻撃を受けている。

レバノンでヒズボラが支配しているベイルート南郊ダヒエ地区は、イスラエルの攻撃の激化で爆撃が繰り返されている。ヒズボラ指導者ハッサン・ナスララ師が1週間ほど前にミサイル攻撃で殺害されたのも、この地域だった。

3日夜に同地区に対して行われた空爆では、ナスララ師の後継者とされるハシェム・サフィディン氏が殺害されたとされるが、確認されていない。

BBCは6日朝、ダヒエ地区に入った。

イスラエル軍が前日夜にソーシャルメディアで攻撃を警告していたビルは、跡形も無くなっており、深さ9メートルほどのクレーターから煙が上がっていた。よじれた金属やぐちゃぐちゃの生活用品があちこちにあった。

この建物への爆撃では死者はなかったが、婦人科医タグリド・ディアブさん(57)は、標的とされたビルの隣の建物に入っていた自らの診療所が破壊された。数日前から「ところ構わず爆撃されるようになった」のを受け、診療は中断していたという。

ディアブさんは、「ダヒエ内外の女性がこの診療所を頼っていた。爆撃前は毎日50人の患者を診ていた」と話し、診療所の破壊は「大惨事」だとした。

診療所の1階下にあったシャケブ・サレハさん(73)の照明店も破壊された。店には装飾された照明器具が黒焦げになってぶら下がっていた。

サレハさんは、「在庫はすべて壊されるか焼かれるかした。損害はとてつもない」と言い、「1982年のイスラエル侵攻で倉庫が爆撃され、何年もかけて再建した。なのにまたこれだ」と話した。

ソーシャルメディアに週末に投稿された動画からは、ダヒエ地区の広い範囲が大規模に破壊され、いくつかのビルががれきと化したことがうかがえた。

ディアブさんの診療所から150メートルほどの距離にあるアル・ラスール・アル・アザム病院の幹部職員は、医療態勢が極めて限定的となっているなか、爆撃で頭部や胸部に重傷を負った人々が運び込まれていると述べた。

ダヒエ地区への空爆は6日も続いた。イスラエルが数日中にイランを報復攻撃すると予想されるなか、ベイルートへの攻撃は激化しているようだと、現地で取材するジョエル・ガンター記者は伝えた。

(取材協力:ジョアナ・マズジョウブ)

(英語記事 'I felt like my heart was going to explode': Beirut reels from heaviest night of strikes

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cly2g870evyo


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