2024年10月7日(月)

BBC News

2024年10月7日

バーンド・デバスマン・ジュニア、ペンシルヴェニア州バトラー

米共和党の大統領候補、ドナルド・トランプ前大統領は5日、7月に自分が演説中に撃たれた激戦州ペンシルヴェニア州の会場で再び支持者集会を開き、11月5日の大統領選では必ず勝利すると支持者に約束した。ソーシャルメディア「X(旧ツイッター)」の所有者イーロン・マスク氏も、登壇して応援演説をした。

ペンシルヴェニア州バトラーの会場を再び訪れたトランプ候補は、会場が「悲劇と心痛」の場所だと述べた。7月13日の銃撃事件では、トランプ候補が耳を負傷したほか、客席にいた男性1人が死亡し、2人が重傷を負った。

「15秒の間、時が止まった」、「あのどう猛な化け物が悪を解き放った。(中略)あの悪者は目的を果たせなかった」と、トランプ候補は事件を振り返った。

トランプ候補に対しては9月にもフロリダ州の自宅近くのゴルフ場で、ライフル銃を持ち込んで候補を待ち構えていたとされる男が拘束され、暗殺未遂罪で起訴されている

それだけにこの日の会場には、厳重警備が敷かれた。

トランプ候補は、2カ月前の銃撃事件で殺害されたボランティア消防団員、コーリー・コンペトーレさんを「国民的英雄のような存在になった」、「美しいコーリー」とたたえ、会場の人たちと共に黙とうをささげた

演説では各地で繰り返している内容をここでも展開し、「腐敗した体制」を攻撃し、アメリカ外交を各国に「再び尊敬」させると約束。不法移民が国内犯罪の原因だとして、「開放された国境」を閉ざすと誓った。

「皆さんは、自分たちの市民を守り尊重し、皆さんの主権と安全と尊厳と自由を守る政府を持つべきだ」と候補は力説したほか、自分の政敵たちが自分を「中傷」し選挙に介入しようとしていると非難。「もしかしたら、私を殺そうとさせしたのかもしれない」と述べ、「でも自分は皆さんのために戦うのをやめていないし、決してやめない」と強調した。

マスク氏が応援演説

会場には、共和党の副大統領候補のJ・D・ヴァンス氏やトランプ候補の家族のほか、この会場での銃撃事件の後にトランプ候補支持を公表したマスク氏も参加。候補に請われて登壇したマスク氏は、今回の大統領選が「自分たちが生きている間で、一番重要な選挙だ」と強調し、トランプ候補に投票するよう呼びかけた。

会場には数万人が集まったとみられており、会場周辺の道路は朝から渋滞した。多くの人は会場に入るまでに10時間前後も行列した。

7月の集会にも参加したという元米海兵隊員のテリーザ・ウィルソンさんは、「前回最後までできなかった演説をするため、ここに戻ってこようとするその姿勢を尊敬する」と述べ、「ここに戻るのを避けたとしてもわかるし、戻りたくなかった観客がいるのも知っている。本人が前回の(暗殺)未遂の場所に立てるなら、私たちも有権者として戻ってきて支持を示せるはず」と話した。

集会に参加した大勢は、選挙を前に特に心配しているのは経済、特にインフレだと話した。「トランプ支持のラティ-ナ」と書かれた赤いTシャツを着て集会に参加していたジェシニア・アンダーソンさんは、「(今の政府は)私たちの面倒をみてくれない。食べるものもまともに買えない。車のガソリン代もろくに払えない」と現政権を批判。「私にも家族がいるけど、前よりお金をかけずに食事を作っているし、前より安い値段のものを買っている」と話した。

テネシー州在住のラッパーで、両親が北朝鮮から亡命してきたショーン・ムンさんは、メキシコから入国する不法移民が一番気がかりだとして、「この国にとって存亡の危機だ」「きちんと審査されずに入ってくる人たちがいる。事実と違うことを主張して、それで報われている」と話した。

民主党のカマラ・ハリス候補が副大統領を務める現バイデン政権の間、メキシコからの不法移民は急増したものの、この数カ月で激減している。

大統領選では、州ごとに振り分けられた選挙人の過半数270人を獲得した候補が勝利する。選挙人19人を擁するペンシルヴェニア州の結果が、勝敗を決める可能性もある。

7日の時点で、同州での世論調査の支持率平均は両候補がほぼ互角か、ハリス候補がわずかにリードしている。

(英語記事 Time stood still, Trump says at site of assassination attempt

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c93y1w12z07o


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