2024年10月7日(月)

BBC News

2024年10月7日

イギリスの名優デイム・ジュディ・デンチ(89)は5日、英南西部で文学祭のトークショーに出演した際、9月27日に89歳で死去した友人の名優デイム・マギー・スミスについて尋ねられ、声を詰まらせた。

デイム・マギーと長年にわたり親交を重ね、数々の映画や舞台で共演したデイム・ジュディはこの日、チェルトナム文学祭で登壇。司会役の俳優・演出家ブレンダン・オヘイさんに、デイム・マギーをはじめ複数の友人を相次ぎ失い、さらにかつては夫マイケル・ウィリアムズさんを亡くしたことについて聞かれると、答える途中で言葉が途切れた。

オヘイさんによるインタビューは、デイム・ジュディの俳優人生を振り返る内容だった。その終盤でオヘイさんはためらった後に、「多分このことは話題にしないほうがいいとわかっています。先週は大変だったと思います。大親友のマギー・スミスとバーバラ・リー=ハントを失ったばかりで」と切り出した。

リー=ハントさんは9月16日に88歳で死去。イギリス演劇界で最高峰のオリヴィエ賞受賞者で、デイム・ジュディとは1992年のBBCコメディードラマで共演している。

続けてオヘイさんは、デイム・ジュディが2001年に夫を亡くしたことにも触れたうえで、昨年10月の英タイムズ紙によるインタビューで、デイム・ジュディが悲しみを「ガソリン」と呼んでいたと指摘。

デイム・ジュディはこのインタビューの中で、俳優として仕事を続けることで夫を亡くした悲しみに対処することができたと話し、つらい思いをしながら舞台に出なくてはならないこともあるが、「時にはそういう状態で舞台に出ると、信じられないほどのカタルシス(浄化)になることもある。自分で自分を強くして、自分が経験していることをエネルギーにして使うのです。ガソリンみたいに。そうすることで、痛みをなんとかすることができた」と語っていた。

5日のインタビューでオヘイさんはこれに触れて、「悲嘆はガソリンのような働きをすることもあると、前に話していました。あれはどういう意味ですか」と尋ねた。

それに対してデイム・ジュディは、「おそらく、悲嘆が作り出すエネルギーが……」と答え始めたものの、そこで言葉が続かなくなった。

その様子を見てオヘイさんはすぐに、「難しいですよね」とつないだ。

デイム・ジュディはこの後、英南部サリー州にある自宅では、亡くなった大切な人たちをしのんで木を植えていると話し、中には木が故人に似ることもあると笑いながら語った。

デイム・ジュディは1934年12月9日生まれ。デイム・マギーはその19日後の、1934年12月28日生まれ。

二人は若いころから最近に至るまで、映画「眺めのいい部屋」や「ラヴェンダーの咲く庭で」、「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」など、数々の舞台や映像作品で共演した。2018年に公開されたドキュメンタリー「 Nothing Like a Dame」では、お互いに冗談を言い合いながら互いのキャリアと人生を振り返っていた。

デイム・マギーはこのほか、映画「ハリー・ポッター」シリーズやドラマ「ダウントン・アビー」で、デイム・ジュディはボンド映画シリーズの情報部部長「M」として、それぞれ世界的に知られている。

(英語記事 Judi Dench speaks of grief after Maggie Smith's death

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c870rw249zro


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