2024年10月14日(月)

BBC News

2024年10月14日

ピーター・ボウズ北米特派員、ハリソン・ジョーンズ記者

米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ前大統領の陣営がカリフォルニア州で12日に開いた支持者集会の会場近くで、散弾銃と拳銃を違法に所持していた男が逮捕された。現地リヴァーサイド郡の警察が13日、発表した。

警察によると、逮捕されたヴェム・ミラー容疑者(49)は、集会会場近くの検問所で、銃2丁と「大容量弾倉」を所持しているのが見つかった。黒いSUVを運転して、会場へ向かっていたという。

容疑者はそのまま「何事もなく」拘束され、銃弾が装填(そうてん)された銃器と大容量弾倉を違法に所持していた疑いの軽罪2件で逮捕された後、5000ドルの保釈保証金を納めて保釈された。連邦法違反には問われていない。

容疑者逮捕は現地時間午後5時前、トランプ候補が登壇する予定の約1時間前のことだったという。

大統領経験者を含め大統領警護を担当するシークレットサービスは、トランプ候補への「危険はなかった」と説明。この事件による警備体制への影響もないと話した。

リヴァーサイド郡のチャッド・ビアンコ保安官は会見で、容疑者について「頭がおかしい」と表現。トランプ候補や集会参加者の安全への影響はなかったと述べた。

保安官は、容疑者の意図を推測することは不可能だとしつつ、保安官事務所の捜査員たちがトランプ候補に対する3回目の暗殺計画を未然に防いだのだと「確信している」とも話した。ただし、それが容疑者の目的だったと立証するのは不可能かもしれないとも認めた。

連邦捜査当局は米CBSニュースに対して、この容疑者逮捕が、暗殺未遂事件と関係すると示すものは何もないと話している。

連邦当局は、この事件を捜査中で、銃の違法所持など以外の罪状で立件するかは今後判断すると話している。

リヴァーサイド郡保安官の役職は、選挙で選ばれる公職。ビアンコ保安官は共和党員で、過去にトランプ候補支持を表明している。トランプ候補再選活動の代理人も務めている。

偽造ナンバープレートや旅券も

ビアンコ保安官は13日に記者会見し、容疑者が会場外周に接近中は「会場に入る許可を得ている様子」だったものの、警備線の中にいるとSUVのナンバープレートが偽造で、「車内がごちゃごちゃ」だったことなど、特異事項が次々と捜査員の目に留まったのだと説明した。

保安官によると、車内にはさまざまな名義のパスポートや運転免許が複数あり、ナンバープレートは「自家製」で未登録だった。

容疑者は取り調べに対して自分は極右団体「ソヴリン・シチズン(主権市民)」のメンバーだったと供述したという。

ビアンコ保安官は、車両のナンバープレートもこの団体との「関連を主張する人物だと示す」ものだったものの、ミラー容疑者が団体メンバーかどうかは確定していないと話した。

「この団体は武装勢力とは言えないと思う。ただ政府と、政府による支配を信じていない集団で、政府と法律は自分たちには関係ないとも思っている集団だ」と、保安官は話した。

米司法長官官房、シークレットサービス、連邦捜査局(FBI)は共同声明で、現在は連邦法違反による逮捕ではないものの、事件は承知しており、連邦当局としても捜査をしていると述べた。

トランプ候補に対しては、7月13日に東部ペンシルヴェニア州バトラーで開いた支援者集会で演説中に発砲事件があったほか、9月にもフロリダ州の自宅近くのゴルフ場で、ライフル銃を持ち込んで候補を待ち構えていたとされる男が拘束され、暗殺未遂罪で起訴されている

このためトランプ候補への警備は大幅に強化されている。

(英語記事 Man arrested near Trump rally had two guns and fake passports

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c5y5zzr5zd0o


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