イギリスの裁判所は14日、慈善団体から11万5000ポンド(約2200万円)を盗んだ罪で、団体理事の女性に禁錮2年(執行猶予2年)の有罪判決を言い渡した。裁判所は女性に「ギャンブルの問題」があり、事件の影響で家族とも疎遠になっていることも認定した。
パメラ・ベント被告(65)は、ノーフォーク州ハンスタンストン近郊を拠点とする「セッジフォード歴史・考古学研究プロジェクト(SHARP)」の会計係として勤務中に、資金を着服した。
ノリッチ治安判事裁判所のルース・ブランダー判事は、ベント被告のギャンブルは、借金返済を目的に「判断を誤った行動」だったと述べた。
SHARPの理事は、自分たちはベント被告を信頼していたが、もはや自分たちの信頼は完全に失われてしまったと話した。
地位を「乱用」
検察は、ベント被告は2020年6月から2022年1月の間にそのSHARPの資金を盗んだと陳述。被告人には、「ギャンブル依存症」があったと述べた。
ベント被告はノーフォーク警察に連絡し、住宅ローンを支払うためにSHARPから資金を「借りた」と話したのだという。
SHARPは、イギリス最大の独立系考古学プロジェクト運営団体。その理事だった被告は、量刑言い渡しに先立ち、職権乱用による詐欺や文書偽造など4件の罪状について有罪をすでに認めていた。
詐欺が明るみに出る前に着服した半額を返済したものの、なお6万1000ポンドが未返済だという。
被告の法廷弁護人は、ベント被告は夫が失業したために住宅ローンが払えなくなり、ギャンブルを始めたのだと説明。「強欲による犯罪ではなく、むしろ絶望が原因の罪だった」と陳述した。
ブランダー判事は、同被告が「不誠実に職権を乱用」したと述べ、その犯罪によって信用を深刻に損なったと指摘。被告に2年間の執行猶予付きで、禁錮2年の判決を言い渡した。
一方で判事は、ベント被告がギャンブル依存症の治療を求めたことを評価。執行猶予を付けたのは、同被告の健康状態が悪いことを考慮してのことだと述べた。
判事はさらに、被告のギャンブルは「自分の状況をなんとかしようと、判断を誤って行動」したことによると指摘。この事件以来、同被告が子供たちから疎んじられていたことにも言及した。
SHARP発掘ディレクターのエレノア・ブレイクロック博士は、ベント被告の犯罪は慈善団体に「大きな影響」を与えたと述べた。
「資金不足のため、本来なら実施したかった多くのプロジェクトを延期せざるを得なかった」とブレイクロック氏は述べた。
また、チームがこの事実を知った時は「心が張り裂けるようだった」と付け加え、「彼女に対する信頼はぼろぼろになった」と述べた。
ベント被告は、慈善団体に返済すべき残額を工面するため、裁判所から自宅を売却するよう命じられた。