2024年10月15日(火)

BBC News

2024年10月15日

ジョナサン・ヘッド(ベイルート)、デイヴィッド・グリテン(ロンドン) BBCニュース

レバノン北部で14日、イスラエル軍による空爆があり、少なくとも21人が死亡、8人が負傷した。レバノン保健省が発表した。同国北部をイスラエル軍が空爆するのは珍しい。

空爆では、キリスト教徒が多く住むアイトウ村の住宅が被害を受けた。この村は、イスラエル軍がイスラム教シーア派武装組織ヒズボラを狙った空爆を何千回と繰り返してきた地域からは、遠く離れている。

現地住民らによると、この住宅には、南部での戦闘のため自宅から避難してきた家族が、2週間前から住んでいたという。

イスラエル軍はこの件についてすぐにはコメントしていない。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、「レバノンのあらゆる場所で、容赦なくヒズボラを攻撃し続ける。ベイルートでもだ」と宣言していた。

イスラエルはここ1週間の空爆の大半を、シーア派住民が多く住み、ヒズボラの勢力が強いレバノンの南部や東部ベカー渓谷(高原)で実施してきた。北部の山地にあるキリスト教マロン派のコミュニティー、アイトウ村への攻撃は予想されていなかった。

惨状が広がる同村では、男性が歩きながら「ああ、母なるマリアよ」と声を漏らしていた。煙とほこりの合間、地面には複数の死体が見えた。

住民らによると、事前の警告なしに大爆発が1回だけあったという。この村には最近、南部での戦闘で家を失った複数の家族が移り住んでいるという。

レバノンの治安当局筋は、攻撃された建物は「男性が車で到着した直後に狙われた」とAFP通信に話した。

レバノン保健省は、現場で収容した遺体の身元確認のためDNA検査を実施中だとした。

ヒズボラ指揮官を殺害と

イスラエル軍は14日、レバノン南部のナバティエ地区を空爆し、ヒズボラの精鋭ラドワン部隊の対戦車部隊の指揮官を殺害したと発表した。

ヒズボラはこの件についてコメントしていない。

イスラエル軍はまた、同国中部と北部がこの日、ヒズボラのロケット弾攻撃を受けたと発表した。ロケット弾のほとんどは迎撃したか、人が住んでいない場所に落下したという。北部カルミエル町に向けては15発が発射され、女性1人が軽傷を負ったという。

同軍は、この攻撃に使われたヒズボラのロケット弾発射設備を攻撃したと説明した。

イスラエルの警察によると、テルアヴィヴの南のホロン地区にも迎撃したロケット弾の破片が落下したが、負傷者や被害はなかったという。

前夜にイスラエル軍基地を攻撃

前日13日の夜には、イスラエル北部ビンヤミナ町に近い軍基地で、イランの支援を受けるヒズボラのドローン(無人機)による攻撃があり、イスラエル兵4人が死亡、数十人が負傷した。

この攻撃は、イスラエルとレバノンの国境地域における戦闘でのヒズボラによる攻撃としては、最も多くの死者を出した。国境地域での戦闘は、パレスチナ・ガザ地区での戦争を発端に1年以上続いている。

ヒズボラはこの攻撃について、イスラエルによるレバノン攻撃に対応したものだとしている。レバノン保健省は、イスラエルによる攻撃の死者はこの1カ月で1700人近くに上ると話している。

(英語記事 Lebanon says 21 killed in air strike in country’s north

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c0e1jl9v573o


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