2024年10月17日(木)

BBC News

2024年10月17日

北朝鮮の国営メディアは17日、同国が韓国を「敵対国」と定義する憲法改正を行ったと伝えた。北朝鮮が憲法改正を公にしたのはこれが初めて。

国営紙「労働新聞」は、北朝鮮と韓国の緊張がここ数年で最高潮に達しているなか、この変更は「避けられない正当な措置」だと報じた。

北朝鮮は15日、韓国とつながる2本の道路の一部を爆破した。国営メディアはこの動きを、両国を「完全に分離するための段階的措置の一部」だと説明している。

専門家らは、今回の憲法改正は主に象徴的な動きだるとみている。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は今年2023年12月の段階で、南北統一を放棄していた。

国営メディアは当時、金総書記が南北関係を「敵対する二つの国、戦争状態にある二つの交戦国」と表現したと報じた。

そして今年1月には、韓国との統一は不可能であると宣言し、憲法を改正して韓国を「第1の敵国」と指定する可能性を示唆した。

それ以来、特にここ数か月の間、南北間で批判の応酬となり、緊張は着実に高まっている。

米シンクタンクのランド研究所の防衛アナリスト、ブルース・ベネット氏は、「敵対国」という表現は、ほぼ1年前から北朝鮮の発信の特徴となっていると述べた。

「2023年末にこの発言が出た時は、対立のリスクとエスカレーションの可能性を高め、重要な進展となった」と、ベネット氏はBBCに語った。

「それ以来、金総書記とその妹(与正氏)は、韓国とアメリカに対して何度も核兵器による脅迫を行い、多くの行動で緊張を高めてきた。そのため、リスクは高まっている」

専門家の多くは、先週の最高人民会議で北朝鮮が統一政策と国境政策に関する憲法改正を行うとみていたが、そのような変更は現在まで公表されていない。

それでも、アナリストらは本格的な戦争の可能性については懐疑的だ。

「状況が戦争レベルにまでエスカレートするとは思わない」と、韓国・釜山の東亜大学で政治学と外交を教えるカン・ドンワン教授は言う。「北朝鮮は軍事対立を悪用し、国内の結束を強めている」。

一方、ソウルの北韓大学院大学校のキム・ドンヨプ教授は、北朝鮮が全面戦争を開始する能力があるのか疑問視している。

「政権は、そのような紛争がもたらす深刻な結果を十分に認識している」と、キム教授は述べた。

(英語記事 N Korean constitution now calls South 'hostile state'

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cq643vdnm5vo


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