2024年12月23日(月)

教養としての中東情勢

2024年10月19日

 「THAADの供与と引き換えに、核施設などへの攻撃をやめるという取引をしたのは明らかだ」(中東専門家)。ネタニヤフ氏のしたたかさが浮き彫りになった一幕だ。

ネタニヤフとトランプの接触

 だが、「ネタニヤフはこれまでガザやレバノンへの攻撃拡大をなし崩し的に米国に認めさせてきた。米国の反対を押し切ってネタニヤフが戦闘を拡大しても、選挙でユダヤ系票を失うことを恐れるバイデンが渋々追認し続けてきた。だからイラン攻撃についても、バイデンへの約束を守るとは限らない」(ベイルート筋)。

 ネタニヤフ首相がイランの核施設や石油関連施設を攻撃する決定を下す可能性を排除できないというのだ。そうした首相の動きの背後にはトランプ氏の影がちらついている。首相は7月の訪米の際、トランプ氏をフロリダ州の自宅に訪ねて会談しており、その後も接触を続けているのは想像に難くない。

 「ネタニヤフとトランプの間で、核施設攻撃を支持するトランプを勝たせるための“密約”があるのではないか。それこそオクトーバーサプライズだ。攻撃が遅れているのはいつ仕掛ければ、トランプが一番有利になるのか、そのタイミングを図っているのだと思う」(同)。

 イスラエルのイラン攻撃は航空機による爆撃のほか、中距離弾道ミサイル「ジェリコ2」などが使われるとみられている。イスラエルからイランまでの距離は約1600キロ。爆撃には途中で空中給油機から燃料の補給を受ける必要があるが、すでに同じ長距離にあるイエメンの反政府組織フーシ派の爆撃に成功しており、イラン攻撃を想定した実践演習も積んでいる。

 ネタニヤフ氏は17日、開戦以来の宿願だったハマスの最高指導者ヤヒア・シンワルの殺害を発表、「ハマス壊滅」を事実上実現した。ヒズボラにはすでに大打撃を与えており、残された最大の敵イラン攻撃に向け、一段と弾みがついた格好だ。

 
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