9月17日午後3時30分ごろ、レバノン全土とシリアの一部で約5000台のポケベルが同時に爆発した。レバノン保健省によると、この爆発で少なくとも2人の子供を含む37人が死亡し、3000人以上が負傷、内400人が重体となっている。レバノンのシーア派イスラム主義のテロ組織ヒズボラのメンバー500人以上が視力を失っている。
イランのレバノン大使モジタバ・アミニ氏も被害者の一人で、持っていたポケベルが爆発し、片目を失い、もう片方の目にも重傷を負っている。
ポケベルが警報音を発した直後に爆発するようになっており、多くの人がポケベルを顔に近づけていたことで失明する被害者が多かったとみられている。
翌18日には、トランシーバーが爆発し、死者は25人以上に上り、負傷者は608人を数えている。ポケベルやトランシーバーは病院、住宅、スーパーマーケット、タクシーとあらゆるところで爆発しており、レバノン市民の恐怖を駆り立てている。非戦闘員である一般市民を巻き込んだこの攻撃は、まさしくテロそのものであり、犯罪行為だ。
予定より早められた爆破計画
これらの爆破計画は、イスラエルの諜報機関モサドが計画したものとされている。モサドがポケベルやトランシーバーに爆発物を仕掛けたのには訳がある。
ヒズボラの事務長であるハッサン・ナスララ師は、今年2月にヒズボラ工作員の会合で携帯電話の使用を禁止しただけでなく、ヒズボラの行動や計画の詳細を携帯電話で伝えてはならないと命じている。ナスララ師は、携帯電話の電源を切って、金属製の箱に閉じ込めるよう市民に訴えるとともに、ヒズボラの将校らにポケベルを常に携帯するよう命じ、戦争の際には戦闘員らの行き先を伝えるためにポケベルを使用するよう命じていたのだ。