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あなたが知らない街のNews みんなの経済新聞

2014年1月31日

 智之さんがかねて欲しいと思っていたキャンピングカー「エアストリーム」を使う同店。エアストリームは、NASAで宇宙飛行士の発射台までの移動に使われるなど、宇宙との関連もある。同店ではアポロ11号が月面着陸した1969年製にこだわり約半年かけて探し、7,500ドルほどで購入。フェリーでアメリカから日本に輸入した。併せて、「静かなる地球」という意味で、NASA開発の断熱材を使っているトレーラー「トランキルグローブ」を事務所兼トイレとして活用している。

「宇宙船の中にいるような雰囲気」にDIYしたという店内

 エアストリームのサイズは全長7.62メートル、高さ2.8メートル。店舗面積はキッチン含め約14平方メートル。席数は常時店内7席、店頭5席を用意するが最大15席まで対応できる。DIYした内装は「宇宙船の中にいるような雰囲気」に仕上げた。設備されていたベッドやバスタブ、壁などは撤去し、床には濃紺のカーペットを敷き、壁やテーブル、椅子などは白を基調にした。天井には土星をかたどった形で、つけると星などが壁に映し出される照明を設置。随所に私物の漫画や雑貨、来店客から譲り受けた物など宇宙関連のアイテムが置いてある。

 メニューは「何かしら宇宙のエッセンスが入っている」料理やドリンクを提供。パンケーキ(ドリンクセット=1,000円、クラムチャウダー・トッピング1種・ドリンクセット=1,200円ほか)は、ラズベリーやパイナップルなどに含まれる、天の川の中心で発見された有機化合物「ギ酸エチル」など「宇宙の香り」をモチーフに、ラズベリーやパイナップルの果実をトッピングした「パフューム」など、3種を用意。前日までに予約が必要な「虹色パンケーキ」(2,000円)は生地が緑やピンクなどカラフルなのが特徴。米テキサスで食べたハンバーガーに着想を得た「宇宙かふぇバーガー」(850円)は、「重力が感じられるよう」あえて固めていないトマト味のミートやヤングコーンなどを挟んでいる。

 コーヒーには、自家焙煎(ばいせん)コーヒー豆店・カフェ「アポロコーヒーワークス」(愛知県豊橋市)の豆を使用。カフェラテ(480円)には、パウダーを星型に振りかけている。ビールは太陽の表面のガス層と同じ名前の「コロナ」(730円)などを用意する。客単価は1,000円ほど。

 店舗はワークショップやセミナー、パーティーなどさまざまな用途で使えるレンタルスペースとしても対応する。利用価格は、平日9時~17時=2万5,000円、土曜・日曜・祝日=3万円ほか。時間外、時間割などにも対応。キッチン利用は別途5,000円。

 オープン後は10~30代を中心に来店があり、男女比は3対7程度。県外から訪れる「宇宙好き」や、外国人を中心に店舗の外観に引かれてくる人も多い。ロックバンド「BUMP OF CHICKEN」のファンがたびたび訪れるなど、智之さん・千恵さんも「想定外」の客層も。智之さんは「全く知らない方にも宇宙を身近に感じ、思いをはせてもらえたらうれしい」と話す。千恵さんは「宇宙と言ってもいろいろあるので、自分に合った・好きな宇宙が見つかれば」とも。

 「日本の宇宙産業市場はまだ小さいので、まずは関心を持ってもらい裾野を広げていければ。将来的には、当店をきっかけに宇宙飛行士を目指す子が出てくれたら」(智之さん)と期待を込める。オープン後の悩みは「一番の楽しみの(宇宙関連の)施設巡りをする時間が減ったこと」と笑顔で話す。


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