古くは、1976年12月、米の航空機メーカーが各国で多額の賄賂をバラまいた疑惑(ロッキード事件)のさなかに行われた任期満了総選挙で大敗、当時の三木武夫首相は退陣を余儀なくされた。この時の選挙は、三木首相ら執行部と反主流派による分裂選挙、当初から敗北が予想されていた。
厳しい海外からの声
ともあれ選挙は終わった。政局の不安定は当面続くだろう。
連立協議の行方、石破内閣の命運がどうなろうと、政権が内政、外交の重要政策で有効な政策を強力に遂行することは困難になる。
「内外とも多事多難」という月並みな表現がぴったりする今日、 国内では人口減少、少子高齢化に歯止めがかからず、外に目を向ければ、ロシアのウクライナ侵略に端を発した戦争は依然続いている。
中国の軍拡、尖閣諸島への領海侵犯は日常化し、領空侵犯も起きており、北朝鮮は核開発放棄の気配も見せず、ロシアへの兵派遣を強行した。緊迫する中東情勢については多言を要すまい。
10日足らず後にはアメリカの新リーダーが選ばれ、日米安保体制の強化が迫られる。
国内総生産(GDP)世界4位への転落など、日本の国際的地位の低下を象徴する事実は枚挙にいとまがない。
各国首脳が経済政策を協議する場は、日本が創設以来メンバーである主要7カ国(G7)から主要20カ国・地域(G20)に移りつつあるし、政局の混乱が続けば、防衛費の増額などに支障が出て、ウクライナ支援協力の埒外に置かれ、アメリカ新政権との間で求められる日米安保体制の強化、対中、対北朝鮮政策が滞る。
自民党の敗北について海外の反響も厳しい。
ロイター通信は「中国の脅威が増大、国内ではインフレが進む中、アメリカ大統領選の9日前に行われた総選挙は、地政学的な風景に不安定さをもたらした」と報じ、日米関係への影響に間接的な懸念を示した。
英フィナンシアル・タイムズは「(スキャンダルに対する)有権者の怒りが政治の不確実性をもたらした。石破退陣の圧力が強まるだろう」との見通しを伝えた。
日本の2流国転落はいよいよもって現実味を帯びてきた。そうならならいためにも、政治や国民に覚悟が問われている。