タワングから見ると、強力な米印関係は必要だが問題も多い。米国のみが中国の対印侵攻を止められる。しかし、米国も難しい友人だ。
ニューデリーとタワングでは、インド人は概ねトランプ当選を歓迎している。彼らはトランプが人権を過度に問題にせずインドが必要な対中対抗支援を供与することを期待している。
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似ているインドと日本のトランプとの関係
印中国境周辺は、自然環境、政治的環境共に、相当厳しいはずだ。インド陸軍は印中国境で訓練をしているため、世界最強の高地戦能力を持っており、他国の陸軍との共同演習に際してこの特殊技能を提供している由だ。
陸上自衛隊は、双方の空軍の参加も得て2018年から毎年インド陸軍と対テロ戦技能向上等を目的にダルマ・ガーディアンと呼ぶ共同訓練を行っているが、その中で高地戦も訓練対象になったことがある。これらの努力は、万一台湾有事となった場合の陽動作戦として、インド陸軍が印中国境で何らかの行動を起こす可能性と、そのための能力強化を日本他の諸国が支援していることを見せることを通じて、中国側にそれが排除されないと思わせる上で大変に重要だ。
それはさておき、印米関係の今後である。印中国境の対立に限らず、インドにとって最大の戦略的脅威は中国で、それに対抗するには、ロシアが中国を支援しないようにすること、そして何よりも米国から支援を受けることが不可欠だ。
一方、トランプの米国では、今まで以上に中国との戦略的競争で勝利することの重要性は増すが、その上で米国にとって誰が重要なパートナーかについては、トランプの頭の中では、インドと日本ではないだろうか。インドと日本は、トランプとの関係では、若干似ている。
第一は、トランプとのケミストリーだ。第二は、対中関係での重要な要素であることだ。
第1期政権の際の安倍晋三首相とトランプとの関係は日本にとって大きなアセットであり、対中対応における日本の重要性についてもトランプの理解が高まったと思われる。インドについては、トランプと同様に若干権威主義的な言行が目立つストロングマンのモディとのケミストリーは、第1期政権の際も悪くなかったし、今後も良いだろう。