ユーロ圏経済が底入れしている。2013年10-12月期の実質GDP成長率は1.1%(前期比年率)と、2011年以来の3四半期連続プラス成長となった(図表1)。そのユーロ圏経済を中心的に牽引しているのがドイツ経済だ。10-12月期経済成長率は1.5%で、ユーロ圏全体の成長率を上回る。また、ユーロ圏経常黒字も、ほとんどをドイツ一国で積み上げる計算で、名実ともにユーロ圏経済を支えている。
しかし、このドイツ経済が南欧諸国の景気回復を厳しいものとしている。ドイツ経済が好調で、貿易黒字を増やせば増やすほど、ユーロ通貨が強くなってユーロ圏全体の輸出は伸びにくくなる。
何より、単一通貨が適用されているユーロ圏では、域内競争格差を為替相場で調整することはできない。ギリシャ等の債務危機国が、勝ち組ドイツとの競争力格差を縮小させ、財政赤字ではなく民間活力で成長する経済体質を作るには、事実上賃下げや財・サービスの値下げ(=デフレ)でコスト競争力を上げるしかない。
今ユーロ圏経済で起きているのはこのような動きだ。景気回復と言っても、ギリシャ等経済再生を図る国にとっては決して楽な回復ではなく、2014年のユーロ圏経済は、好調なドイツと、厳しい回復を図る国々に二極化される展開が続くこととなろう。
しかし、この展開を乗り越えていくことがユーロ圏の経済体質を強くする。円安や積極的な財政金融政策で景気が回復している日本にとっても、ユーロ圏経済の展開は他人事ではない。
二極化するユーロ圏経済
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ユーロ圏経済は底入れしつつあるが、その二極化はいくつかの経済指標で確認することができる。例えば、ユーロ圏の失業率は最悪水準が続いているが、とりわけギリシャ、スペインの高失業率は景気底入れにあっても大して改善に転じていない(図表2)
ユーロ圏各国の物価動向にも大きな違いがある。いずれも債務危機国であるキプロス、ギリシャは厳しいデフレとなっている(図表3)。スペインもデフレで、イタリア、ポルトガルといった他の債務危機国でもディスインフレ傾向が著しい。