2月28日、ビットコインの取引を停止したMt.GOX(マウントゴックス)の代表が会見、東京地裁に民事再生手続きの開始を申し立てたことが明らかになりました。仮想通貨・ビットコインとは一体何なのか、その本質に迫ります。
最近、世間を賑わすようになったビットコイン(BitCoin)は、人びとの興味を惹きつける、いろいろな要素を持っているようだ。
闇サイト「シルクロード」の摘発
まず、広く一般の耳目を集めるようになったのは、昨年(2013年)の10月2日、米FBIがネット上の麻薬取引業者を摘発した事件がきっかけだろう。
一般的な方法ではアクセス不可能な、“闇サイト”とよばれるもののひとつ「シルクロード(SilkRoad)」は、ビットコインのみで決済が可能で、その取引の匿名性の高さから、世界中の麻薬が扱われていたという。
それを問題視したFBIが、シルクロードの摘発に乗り出した際に、約3万BTCを押収(BTCはビットコインの単位)、相場にもよるが1BTC=1000$だとすれば約30億円にも上ることがわかり、この事件によってあらためてビットコインという新しい通貨の得体の知れない不気味さと、普及の広がりによる影響力の大きさとが浮き彫りになった格好だ。
また、この事件の話はこれでは終わらず、さらなる展開をみせる。12億ドルを売り上げた巨大サイト、シルクロードの運営者は29歳の青年で、ルームシェアをしながら質素な暮らしをしていた彼は、14万BTC(前出のレートで約140億円分)を所有していたという。FBIはこれも押収した。
象徴的なこの事件のほかにも、ビットコインにまつわる話題には事欠かない状況だ。最近では大手取引所Mt.GOXの取引停止が大きく報道されている。顧客からの預かり資産が盗難されたと見られているが、新しい仮想通貨の管理の仕組みのもろさが露呈してしまった格好だ。
ビットコインは2009年頃から広まったと言われているが、特にユーロ危機の際、キプロスで銀行預金封鎖が施行されたときにその対策としてビットコインに交換したい、という需要が増した。昨年12月には中国人民銀行(中央銀行)がビットコインの利用禁止を発表し、半値近くまで一気に値崩れしたなど、今回のMt.GOXの問題に至るまで、その動向は継続的に報道されてきた。
ビットコインをめぐる状況は、今後、社会的にも、法的にも、経済学的観点においても、ますます予断を許さない状況となるだろう。善良な市民である私たちにとってであれば、短期的かつ実際的には小額決済用の便利な万能コインとして多く機能するのではないか、と私的には思われる。ただ、そのボラティリティ(値動きの大きさ)は、裁量的な金融政策が難しいため、短期的にも、中期的に見ても非常に大きなままである可能性は高いだろう。