2025年4月4日(金)

Wedge REPORT

2025年2月27日

 トランプ政権で暗号資産政策のリーダーに指名された起業家のデビッド・サックス氏が、AI分野の政策担当も一緒に任されている理由はそこにありそうだ。

暗号資産規制の厳しい日本
イノベーションの足枷に

 このように、米国政府主導で進む暗号資産ブームの流れを日本はどう捉えるべきなのか。

 自民党の党デジタル社会推進本部は23年12月、利用者預託金が2.9兆円に達していることなどを受けて、「個人所得課税において暗号資産取引で生じた所得が原則雑所得となっているものを申告分離課税の対象とすること」を政府に求めている。

 現行、暗号資産は雑所得扱いであり、支払いに使ったり移動させたりすると、最大で55%課税されることから、利用者が活発に使えない状況がある。

 さらに日本は世界的にも暗号資産の規制が厳しい国として知られている。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの主席研究員・廉了氏は、「日本は税金が高く規制が厳しいので暗号資産の取引が海外に流れてしまい、税金逃れなどが起きている。そうなると日本の当局も税の捕捉が難しくなり、マネーロンダリングなどの問題も懸念されている」と指摘する。

 厳しい規制が日本のイノベーションの足枷になっているという懸念もある。前出の長谷川氏は、「暗号資産を海外とやりとりする場合、税金が高く、税制などの申告も面倒なために、海外に拠点を移動するスタートアップ企業などは少なくない」と語る。

 例えば、日本でも注目されている暗号資産であるアルトコインのアスター。開発者は日本人起業家だが、日本の税制がネックとなって登記は海外で行っている。さらに最近では、米クラーケンや米コインベースなど暗号資産交換業者がいくつも日本から撤退している。理由の一つには、日本の税制が活発な活動を阻害していることがある。

 しかも、分離課税で暗号資産の活用を活性化しようにも、「政府としては課題がある」と廉氏は言う。「暗号資産は、これまで取引所がサイバー攻撃を受け、不正流出する事件がたびたび発生し、安全ではないというイメージが強い。そのため、国家戦略として、税制優遇して暗号資産の取引を活発にしようとは、なりにくい」。

 日本はこれまで、14年には大手暗号資産取引所のマウントゴックスがサイバー攻撃を受け、ユーザーの85万ビットコイン(当時のレートで約490億円)が盗まれたり、18年には大手取引所コインチェックで管理されていた暗号資産が大量に盗まれたりするなど、苦い経験がある。

 その一方で、規制が厳しいからこそ、利用者が安心して使えるようになっているとの声もある。


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