22年、バハマに本部を置いて世界各地で取引所を展開していた世界第2位の暗号資産取引所FTXが経営破綻した際には、過去のサイバー攻撃事件を教訓にしたこれまでの規制強化が奏功している。金融庁の規制の下、取引所の運営資金と顧客資産が分別管理されていたため、日本の利用者は迅速な資産返金を受けることができた。前出のアトキンス氏も、「規制については日本が進んでいて、学べるところはあるだろう」と述べる。
暗号資産を正しく理解し
規制改革の判断を
ただ、こうも言っている。
「アメリカも主導権を握れるよう進めていくことになる」
つまり、トランプ政権になって世界的な暗号資産の主導権を握るために、日本は米国から圧力を受ける可能性もあるということだ。元トランプ政権関係者はこう話す。「トランプは暗号資産の価値を高めるために、暗号資産の人気が高い同盟国の日本に規制緩和を迫るかもしれない。日本はそうした要求にどう対応するのか準備しておいたほうがいいだろう」。
そこで心配になるのが、日本の政界には暗号資産に対する理解度が足りない人が多いことだ。「政治家の中には一部の熱心な方々がいるが、やはり、暗号資産にあまりいいイメージを持っていない政治家が多い印象だ」と廉氏は指摘する。
理解が追いついていないために、米国企業などに言われるがまま、日本政府が規制改革に取り組むという事態は避けなければならない。
例えば、23年に世界的に注目を浴びていたChatGPTを運営するOpenAIの関係者が日本の国会議員詣でをした際に、多くの政治家は手放しで称賛するのみで、AIが吸い上げようとしている日本人のデータや知的財産のデータ利用をどう守るのかという発想に及んでいなかった。
「トランプ2.0」で暗号資産がますます活用されるようになれば、同様の事態が起こりうる可能性は十分にある。日本の未来を見据え、暗号資産が日本経済に与えるメリットとデメリットは何か、冷静な議論と規制改革の判断が必要だ。
例えば、税制の見直しはその第一歩となるだろう。スタートアップなどのイノベーションにも開かれた環境が根付き、社会の発展と、国民の「手取り増」にもつながっていく可能性があるからだ。
もちろん、拙速に結論を出すことは禁物だが、その間にも米国の圧力はさらに高まるかもしれない。暗号資産狂騒曲の中、日本としての「判断のモノサシ」を持つことはもはや避けて通れない。