地域においても、安倍総理の行動は反発を招いている。12月26日の靖国参拝や、戦時の残虐行為を否定する他の高官の声明は、日本の軍国主義の亡霊が完全には追い払われていないのではないかとの疑念を引き起こしている。韓国人は、日本の植民地支配のゆえに、多くの遺恨を抱いており、韓国と中国の結びつきは、特に強い。
新しい憲法解釈が、戦後の日本の軍に対する制約を完全に取り除くわけではなく、安倍総理は憲法改正も追求している。中国は、集団的自衛権について大騒ぎするだろうが、中国の指導者たちは、自らの行動がドアを開けてしまったのだ、と考えることになるかもしれない。中国が尖閣や南シナ海で、力によって現状を変更しようと試み続ければ、安倍総理と後継者たちは、憲法9条を完全に削除してしまうかもしれない。
安倍総理が、日本を、地域で指導的役割を果たせるようにしようとしていることは、称賛に値する。日本は、過去70年間、平和に貢献し、過去の行為を改めて来た。今や、日本は、民主国家にとって近隣の安全を保つ重責を担う時である、と述べています。
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東アジアの情勢、その中における日米同盟と日本の軍事力の重要性、そして、それに関連する集団的自衛権の重要性を、明快に、あるいは当然のように常識的に、正面からとらえた社説です。もとより、日本として極めて心強い論調ですが、こういう社説がもっと早く出なかったのが不思議なぐらいです。
そして、おそらく、米国の国際関係、軍事の専門家の間で、これに反対するような論説は今後も出て来ないのではないかと思います。
出るとすれば、この論説でも、この問題をめぐる困難な環境の一つとして、歴史問題が存在することに客観的表現で一言触れていますが、その程度でしょう。それも集団的自衛権行使の問題自体とは直接関係ない問題です。今後とも、集団的自衛権の行使をめぐる米国の論調については、心配は要らないと見てよいでしょう。
そして、オバマ政権のアジア政権の迷走は、マイナス要因であると同時に、日本が、社説の言うような指導的役割を果たすチャンスでもあります。
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