2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年2月18日

 1月10日付仏ル・フィガロ紙は、日本は、中国の台頭に対抗して、戦略態勢を強化して、「普通の国」になろうとしている、という解説記事を掲載しています。 

 すなわち、中国に対して、自らの地位を守るため、日本は、新戦略ドクトリンを策定した。

 平和主義は受け身であることではない。特に、同盟諸国が我々を必要としている時はそうである。日本は、戦略態勢を強固にし、軍事的に行動する能力を強化しつつ、そのようなメッセージを発出している。

 安倍総理は、「日本は二流国家でもなければ、二流国家にもならない」と述べた。その背景には、中国に比して、日本が衰退し、地位が下がったとの強迫観念がある。「アベノミクス」で経済に活を入れてから、安倍総理は、今度は、「日本再生」の2つ目の柱である外交・軍事力に着手した。その目玉が、「国家安全保障戦略」(NSS)である。

 既に幾つかの具体的行動がなされ、その1つが、昨年12月末に設立された国家安全保障会議(NSC)である。そして、日本政府は、10年続いた防衛費の削減を止め、今年は、0.8%増加の予定である。

 尖閣諸島をめぐる中国との対立を背景に、日本は、空と海の監視機能や水陸両用の能力を高めようとしている。

 後は、微妙な法律的問題が残る。長期的には、総理にとって、憲法の「改正」が望ましいとしても、まずは、それを「再解釈」することが課題である。安倍は、「積極的平和主義」と言う概念を持っている。安倍の側近達によると、それは、軍国主義の復活ではなく、単に「普通の国」になることである。

 日本は、世界の「平和に貢献する者」になりたいと思っている。そのためには、「集団的自衛権」が行使できなければならない。やや難解な言葉であるが、そこには、外国で同盟国を助ける権利が含まれる。国分良成防衛大学校校長は、「PKOで日仏両軍が隣同士で行動しているとしよう。もしフランス軍が攻撃を受けても、それを援けることを日本の憲法が禁止していたら、日本は信頼のおけるパートナーと言えるだろうか。それは普通ではない」と説明した。同校の神谷万丈教授は、「国際社会は、日本が世界の安全保障により積極的な役割を担うことを期待している。日本は長い間、小切手外交しかしていないと批判されてきた」と言う。


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