日本は、国内でも海外でも、慎重に歩を進めている。国内世論は、憲法改正に批判的なので、安倍は、その予定を遅らせた。また、先月成立した特定秘密保護法案は、激しい論争を呼んだ。東アジアでは、韓国と中国は、日本の「再軍備」ないし「ナショナリズムの復活」を警戒している。そのことから、安倍は、慎重な姿勢で、日本の「平和志向」は決して変わることはない、と繰り返し強調した。このような行為も、最近、安倍総理が、祖国のために命を捧げた兵士を称える聖域である靖国を参拝したことから、上手く行かなかった。中国及び韓国は、それを挑発と捉えた。更に、中国は、日本が東南アジア諸国、豪州及びインドとも様々な分野で協力する外交を推進していることを、懸念している、と論じています。
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内容的に新しいことはありませんが、淡々と日本の安全保障政策を、客観的にまとめた記事で、好感が持てます。例えば、靖国神社について、英米の論調では、A級戦犯を合祀したWar Shrine(戦争神社)としているのを見かけることがありますが、上記記事では、祖国に身を捧げた兵士を祀るSanctuaire(聖なる場所)と表現されています。
同記事は、初の日仏「2+2」(外交・防衛閣僚会議)が開催された時期に合わせて掲載された点で、意義があります。同時に、ル・フィガロ紙は、「日本は平和ドクトリンを放棄しない」という岸田外務大臣のインタビュー記事を、大きな写真付で掲載しました。
上記記事の読者が付したコメントにも興味深いものがありました。掲載直後、2人のフランス人がコメントしています。1人は、「何も新しいことではない。いつも中国が安定を揺るがし、軍拡している。日本には、同じ事をする権利がある」と述べていました。もう1人は、「『中国に対して自らの地位を守る』とは、数年前に台湾人から聞いた言葉である。今日、もはや、誰も幻想を持たない。日本人もそうだろう」と書き込んでいました。
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