2024年5月29日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年3月24日

 しかし、シェール・エネルギー革命は、全体として、米国に新たな回復力の源を提供し、アメリカの世界における地位を向上させている。米国におけるシェールガスやタイトオイルの出現は、技術革新がいかに世界の経済力、政治力のバランスを変えることができるか、今一度示している、と述べています。

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 内容的には総じて周知の事実がほとんどと言ってよいかもしれませんが、米国のシェール革命の意義を簡潔にまとめた論説です。クリミア危機をめぐって、米国のシェールガスの対露カードとしての側面にも注目が集まっており、論説の言う「技術革新が如何に世界の経済・政治力のバランスを変えうるか」が、改めて実感されます。シェール革命が必ずしも米国の中東への関与を低下させるわけではないという指摘にも留意すべきでしょう。

 米国のシェール革命は、言うまでもなく、日本にとっても一大関心事ですが、折しも米エネルギー省は、シェールガスの日本勢による全事業を承認しており、対日輸入に向けた大手商社等の活動が、これから本格化することになります。しかし、実際の輸出は2017年以降のため、それまでにどんな政治・経済状況の変化、自然災害等が起こるか、予測不能な面があります。

 まず、FTA 非締結国への天然ガス輸出規制は米国に必要なのか、という問題があります。輸出規制は資源が不足していた時代には効力がありましたが、今は資源過多の時代であり、顧客獲得競争において米国の立場を危うくします。輸出規制は、自由貿易を支持するという米国のWTOにおける主張とも矛盾します。最近、こうした観点から、この規制はもはや不要なのではないかとの意見が出てきています。こうした意見が強まれば、日本が米国のシェールガスを獲得することに弾みをつけることになるでしょう。

 そして、シェール革命に乗ることは、日本のエネルギー資源の安定確保にとって、米国・カナダ以外の国々との価格交渉への梃子を持つことになり、望ましいことです。

 一方、エネルギー需要が急拡大する東南アジア各国では、LNG輸入計画が進展中であり、液化プラント・ターミナル建設等のインフラ輸出に加えて、輸送船や関連素材の輸出にも商機が広がります。ここは、国際協力銀行JBICの「海外展開支援融資ファシリティ」等を有効活用しながら、クリーンエネルギー・ハブ&スポークといった広域流通網の構築で、日本が主導権を握っていくことが期待されます。

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