世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年3月26日

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 それゆえ、PLAが乱暴になっているかどうかとの問いへの答えは、「安心もできるし心配でもある」ということになる。組織としては、PLAは共産党の強力な統制下にあるが、同時に、中国指導部は、PLAに、紛争の種を内包した政策指針と任務を与えている。PLAの大きな行動の自由と、トップレベルの決定のナショナリストあるいは敵対的側面を増幅させる思考という文脈の中で、中国の長年にわたる「紛争回避政策」を維持することは、決定的に困難になっている。

 最終的な解決法は、中国の文民指導者の手にある。文民指導者は、より明確な制約を軍に課すことで、より強力に軍の行動を統制しなければならない。最も重要なことは、向こう見ずな振る舞いに常に報奨を与える、危険なインセンティブの構造を止めなければならない、とうことである、と論じています。

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 やり過ぎではないかと思われるぐらい過激な最近の中国の行動について、軍が党の意向に反して独走しているわけではなく、軍は今でも党の支配下にあるが、その範囲内ではかなり広い自由裁量権を持っており、その範囲の中では、「寧左勿右」(強硬を以て良しとする)の傾向が強く、党はそれを統制していない、という分析です。常識的で妥当な判断であり、おそらくは、この分析通りと思います。

 この分析が正しいとすれば、台湾侵攻、インド、ベトナム国境での武力進出などの大きな政策は、今でも党中央の統制下にあり、いかに「寧左勿右」の傾向が強くても、軍が独自の行動を取ることはない、と想定して良いのでしょう。

 ただ、尖閣周辺において、中国の海上警備船舶及び航空機が日本の領海に接近、侵入し、それに対抗する日本側の船舶、航空機に衝突ギリギリまでの行動を取るということは今後とも起こり得ると考えなければなりません。もっとも、火器管制レーダー照射などは、その国際的反応が強かった結果、今後は党の統制下に入った可能性はあります。

 この分析を、1930年代の中国大陸における日本の軍の行動と対比すると、「強硬論を以て良しとし、軟弱な態度を排斥する」傾向は全く同じであり、出先の裁量の範囲では、かなり危険な行動も予想されますが、それ以上の国家戦略において、かつての日本軍が「統帥権の独立」をかざして、中央の意向を無視する北支工作を行ったような行動をとることは、まだ無いと考えて良いでしょう。

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