同じように「日本の中小企業の技術を紹介する雑誌を欲しいという人に配っていけば、顧客の獲得につながるのではないか」(石田氏)。
「9人だけでやってもネタはすぐになくなる」(飛山氏)と、会員を募って、会員企業を順次取材して雑誌で紹介するという仕組みをとることにした。年会費は60万円。これを安いとみるか高いとみるか。「2週間のドイツ行きの交通費、通訳費などで80万円以上かかった」(永森氏)と言うように、「海外で少しでもビジネスをした経験がある企業ほど、この金額は高くないと分かってもらえる」(石田氏)。
「独立したい」と話していた飛山氏が社長に推され、石田氏が編集責任者になった。他のメンバーは出資に加えて、それぞれの得意分野別で取材に同行する。執筆はプロのライターに依頼するが、記事のポイントを「どこに置くか」、技術屋の視点を盛り込むためだ。写真についても、鋳物の加工面を強調するなどして「普通の雑誌であれば製品の全体を写すかもしれませんが、プロが見れば加工面のバリが綺麗に削られている所に注目するはず」(飛山氏)という工夫を施している。
雑誌を潜在顧客に的確に配ることができるように、メンバーが海外取引で使ったことがある販売代理人(レップ)や、石田氏などが直に面接したなかから配布者としてのレップを選んだ。そしてレップの拠点をシンガポール、シリコンバレー、フランクフルトにおいた。また、日本語を英字に直すことができ、技術が分かるライターをシリコンバレーで確保した。
現在会員数は40社まで増えた。1号に掲載される企業数は10社程度なので4回分は確保できた計算になる。中小企業の海外販促ツールとして大きく成長することを期待したい。
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