2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年4月4日

 その上、中国の攻撃的態度に対し、米国政府は東アジアに対する今以上の包括的国家戦略を策定する必要がある。最近超党派で、スーザン・ライス国家安全保障補佐官に「東アジア戦略評価」を実施するよう要請した。ただ目的を羅列するだけでは不十分で、目標と、そこに到達するための手段の最適な組み合わせを決めなければならない。

 今のところ政府は躊躇しているが、議会では党派を超えて賛成する議員が増え、研究者の間でも支持が広がっている。

 最後に、日米両国は、東アジア地域の米国の同盟国と友邦の間の信頼と協力をより高める方法を見出すべきである。友人を作り、維持することが今日ほど重要だったことはない。同盟の管理と統合は今後の主要な外交的戦略的任務である。日韓関係に関心を払うとともに、日米は、例えば、日米比といった三者協力の推進を考えるべきである。

 自己主張の強い台頭する中国の挑戦は、過去70年間強固であった日米同盟を再活性化し、日本が重要な国家安全保障に関する改革を実施し、米国が長期にわたる東アジアへの関与の問題に対処するための触媒の役割を果たすべきである。活力ある日米同盟は、アジア太平洋地域の今後の長きにわたる安定と繁栄を保持する最も確実な方法であることは明らかである、と述べています。

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 日米同盟の重要性を、特に中国に対抗する政策の観点から強調した論説です。

 オバマ政権の中国政策がはっきりしない中で、議会の枢要な地位を占める議員が、このような明確な見解を示したことは、日本にとって力強い限りです。いざとなれば頼りになるのは議会であることを思い出させる論調です。

 フォーブス委員長は、米国自身が中国の軍事力増強に対抗するため、新しい考えと技術を動員すべきであると述べるとともに、政府に「東アジア戦略評価」を実施するよう要請したことを明らかにしています。政府は今のところ尻込みしているとのことですが、これが実施されれば、米国の東アジアに対する関与がさらに高まるとともに、中国を戦略的観点から考察せざるを得なくなります。  

 日米同盟については、中国に東アジアで国際規範に則った行動をとらせることが肝要で、日米同盟は米中関係にとっても重要である、と言っています。中国に対抗するための日米協力については、海上戦力の分野での競争力の強化に一層努めるべきである、と述べています。

 フォーブス委員長は、安全保障に関する安倍内閣の政策を高く評価しています。国家安全保障会議を設置し、列島防衛の新しい体制を打ち出し、防衛費の増額を決めたことは称賛に値すると述べています。日本の安全保障体制の充実に関する一層の努力を期待してのことでしょう。

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