Wedge REPORT

2014年4月16日

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 小野さんは、東電女子サッカー部マリーゼのゼネラルマネージャー(GM)だった。もともと日本サッカー協会の職員で、シドニー五輪(00年)出場を逃して人気が落ちていた女子サッカー全体の強化と普及の担当になって5年ほど経った時、マリーゼの運営をやってくれと人づてに頼まれた。マリーゼは仙台の実業団チームを継承して05年に発足、Jヴィレッジを本拠地とした。小野さんは翌年GMに就任した。

体育館の階段に唯一残された、東電女子サッカー部マリーゼの証
(撮影・編集部)

 毎年、高校生や大学生を数人ずつスカウトして育成。5年間強化に努めて、09、10年、連続してリーグ3位になった。優勝が視野に入り、秋には下部育成組織もつくろうとしていた矢先の3.11。全てが崩れ去った。4月、無期限休部が発表された。

 選手25名に早くサッカーをさせてあげたい。小野さんは関東のチームを駆けずり回って、いくつものチームに、数名ずつ受け入れてもらった。並行してチーム移管先を探した。最終的にはベガルタ仙台への移管が決まった。やまや、アイリスオーヤマといったスポンサー企業が、数名ずつ雇用も引き受けてくれた。

 小野さんは、Jヴィレッジの環境も、自宅があった大熊町の生活も大好きだった。「出身じゃないけど、この浜通りの土地でずっと暮らそうと決めていたくらいです」。

 13年7月には、Jヴィレッジの運営会社の常勤取締役に就いた。Jヴィレッジの復興に全力を注ぐためだ。東京五輪の決定が後押しになったが、復興は簡単ではない。芝の修復に2年はかかる。施設の修理、整備の費用負担をどうするか。施設があれば人が来てくれるわけではない。放射性物質を心配する声は消えないし、五輪後のビジョンだって必要だ。やることは山積している。「Jヴィレッジがサッカーでにぎわう姿をもう一度見たい」その一心で小野さんは動き続ける。

◆WEDGE2014年4月号より









 

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