Wedge REPORT

2014年4月17日

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パトリック・クローニン (Patrick Cronin)

新アメリカ安全保障センター(CNAS)上級ディレクター

オックスフォード大学で修士・博士号取得。ジョージタウン大学やジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)などで教鞭をとる。その後、戦略国際問題研究所(CSIS)などの研究機関で活躍。前職は、米国防大学国家戦略研究所所長。

 経済的には、大統領は高い基準を満たす開かれた貿易を推進する覚悟を固めて、アジア入りする必要がある。これは、TPPの創設メンバーとして、日本とマレーシアを取り込んで進展を遂げつつ、韓国、さらにはフィリピンにも、いずれ加盟するよう促すことを意味する。TPPが日米の国内政治に巻き込まれてしまうようなことがあれば、少なくとも当面は、米国のアジアへのピボットの重要な柱を弱めることになる。

 政治的には、大統領は国際法と包括的なルールに基づく制度に対して確固たるコミットメントを示す必要がある。地域のすべてのプレーヤーに対し、海洋法のみならず、中国の拡張的な領有権主張の一部に対してフィリピンが明確な判断を求めている国際海洋法裁判所の活用を支持するよう呼びかけることができるし、そうすべきでもある。

 また、アジア地域には、リスク軽減措置を講じるよう強く求めるべきだろう。中国は、軍同士の直接的な危機回避メカニズムを求める日本の度重なる要請を、故意に無視してきた。地域のすべての国は、南シナ海における法的拘束力のある行動規範に関する協議の早期終結を後押ししなければならない。今年の環太平洋合同演習(リムパック)への中国の参加は、米国が包括的な協力を歓迎することを思い出させる材料だ。

 そして最後に、リバランシング政策の安全保障の側面として、オバマ大統領は5000億ドル規模に迫る新たな国防概算要求について語り、現在から将来にかけて、それがいかに関与と抑止を維持する助けになるのかを説明する必要がある。

 東京では、オバマ大統領と安倍首相は、包括的でルールに基づく制度に対する共通のコミットメントを明確に伝える一方、年内に予定されている日米防衛協力指針の改定を進める必要がある。韓国では、オバマ大統領と朴槿恵大統領は抑止について再確認する一方で、より大きな地域連携を受け入れる姿勢を保つ必要がある。理想的には、日米韓が互いに重なり合う国益を追求し、北朝鮮が次の挑発行為に出る前に、新たな危機にしっかり備えておくといい。

 もしオバマ大統領が経済、政治、安全保障という政策の3つの側面すべてで進展を遂げることができれば、米国は間違いなくアジアでバランスを再発見したことになる。

*英語版はこちら

◆WEDGE2014年4月号より









 

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