2025年7月10日(木)

ドクターイエロー引退記念写真集

2025年6月13日

 ドクターイエローで特筆すべきは、「見ると幸せになる」と言われ、鉄道ファンに限らず幅広い層から人気を集めたことでしょう。

 結果として、ドクターイエローによって、東海道・山陽新幹線の安全運行を支えている、電気・施設など鉄道インフラに関する業務、それに従事する方々に注目が集まることになりました。

 ドクターイエローT4編成自身、また乗務している検測員の方々のお仕事を、制作中の『JR東海公式 ドクターイエロー引退記念写真集(仮)』から選りすぐった写真で振り返ります。

ドクターイエローならではの「屋根上」の景色

 煌々と輝く測定用パンタグラフは、ドクターイエローの大きな特徴の一つ。本写真はT4の観測ドームから撮影しています。

 車両内から屋根上を眺められるのは、東海道・山陽新幹線ではドクターイエローだけ。JR西日本のドクターイエローT5編成が引退すると、こうした視点からの景色もなくなることになります。

欠かせない「測定用パンタグラフ」の厚みのチェック

 新幹線の動力となる電力を架線から車両に取り込む「パンタグラフ」。東海道新幹線では長大な16両編成ながらもその搭載台数はたった2台のみ。ドクターイエローのベースとなった700系でもそれは同様でした。一方、7両編成なのに4台も並ぶパンタグラフは、ドクターイエローの外見上の大きな特徴の一つと言えるでしょう。

 その内訳は、通常の新幹線と同じ集電用パンタグラフが2台と、架線の状態を調べるための測定用パンタグラフが2台。検測時にはそれぞれ1台ずつを上げて走行します。それぞれ2セットずつ必要なのは、予備ではなく、検測用パンタグラフについて、正確な測定を行うため、常に進行方向前側のものを使用するためです。

 そして測定用パンタグラフも、集電こそ行わないものの、実際に架線と摩耗するため、徐々にすり減っていきます。検測前日に行われる「前検査」では、検測員によってパンタグラフの一番上にある「スリ板」の厚みが、規定値内に収まっているかを確認します。この他にも前検査では検測走行をより正確かつ確実なものにするために入念な測定機器の点検、整備が行われます。


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