一方で、漁業者に利益が集中し過ぎるといった問題があります。しかし、それは別次元のうれしい悲鳴であり、漁獲枠の有効期限を設けたり、シェアの制限をしたり、カメラを取りつけたり、VMS(衛星通信漁船管理システム)で管理したりと特定の漁業者に利益や権利が集中してしまうことを防ぎ、禁漁区での漁獲をしないようルールを守ってもらうための科学的な機器もすでにあるのです。「獲れない、安い、売れない」と嘆く日本とは、根本的に違います。それだけ儲かるのなら、アイスランドのように税率を上げて、多くの税金を納めてもらうのもよいでしょう。漁業者は怒ります。しかし、少なくとも十分儲かっているのです。
日本の資源管理政策の誤りは、残念ながらこれまでの説明や図でご覧になっている通りではっきりしています。これ以上世界の潮流と現実に逆らい「井の中の蛙大海を知らず」となってしまってはいけません。「日本はこのままのやり方でよいのだ」と、情報が行き渡らず「世界で成功している例を知らない」現場の人々を苦しめてはいけないのです。
筆者は、世界中の水産関係者と交流があります。日本の漁業に対して、各国は強い関心を寄せます。水産白書のグラフなどを見せて説明すると、すぐに問題が「乱獲」と指摘します。漁獲枠(TAC)の運用が極めて怪しく、しかもオリンピック方式であることが、容易にわかるからなのです。
以前アイスランドで日本の漁業の話をしたら、今すぐマスコミを呼ぶので同じ話をして欲しいと言われて記事になったことがあります。他にもロシア、ナイジェリア、ノルウェーなど、色々な国の方々から関心を寄せられました。なぜか? それは「日本のようになってしまったら魚が減って自分たちが困る」からです。世界中と取引している国際的な水産関係者で、資源関係に関心があれば、日本の問題点は簡単に分かります。
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