3月24日、水産庁において第1回「資源管理のあり方検討会」が開催されました。会は公開で行われ、傍聴者は100人近く集まり、広い会場に変更して行われました。業界紙だけでなく、多くのマスコミ関係者も来場しました。
その理由の1つに、今回の12名の委員の中に、水産資源管理において一目置かれる存在である勝川俊雄・三重大学生物資源学部准教授(社団法人 海の幸を未来に残す会 理事)が選ばれていることもあります。これまで行なわれてきた同様の委員会では見られなかった「活発」な議論が展開されることが期待されたからです。
多くのマスコミ関係、行政、政治家、水産関係者、そして本連載を読まれている方々も、「このままではまずい」とすでに気が付いています。そして日本の資源管理を世界と比較すると、致命的な相違点が随所に見られ、それらが漁業者だけでなく、水産業そして地域コミュニティをも苦しめていることもよくわかっています。その状況を変えるために、口火を切った一人が勝川准教授なのです。
日本の資源管理をめぐり紛糾する議論
4月18日に開かれる第2回会議では個別割当制度(IQ・ITQ)に関する自由討論と、スケトウダラ、マサバの資源管理が議論される予定です。第1回は、水産庁からの説明が終わった後、議論が2時間近くに及び、その半分が、会議で孤軍奮闘する勝川准教授が提起した水産資源の見方と資源評価のやり方に費やされました。
勝川氏は以下の見解を出しました。
『漁村に行くと魚がいないという話ばかり、ここで議論されている「資源が良い」という話はどこの国の話なのか。日本の資源制限の表現の仕方は海外と違う。日本の場合は、急激に獲った後のある時点からしか考えていない。海外と同じように漁獲がほとんどなかった時代を基準に判断してはどうか?』
『魚のたくさんいた昔のことを忘れて資源管理しても、資源の減少は解決しない』
『水産庁が行ったアンケートでは9割の漁業者が、資源が減っていると答えている。水産庁の認識と漁業の現場で見聞きしていることには大きな隔たりがある。沿岸漁業が危険な状態にあって、TAC(漁獲枠)制がきちんと運用され、沿岸漁民に対して魚がきちんと残っているとは到底思えない』
これらに対し、異論が相次ぎました。