トランプ大統領が2月28日(現地時間)、ホワイトハウスにウクライナのゼレンスキー大統領を招き会談した。トランプ大統領は、石破茂首相を迎えたのと同じ西棟玄関でゼレンスキー大統領を出迎え、執務室に招き入れた。
報道陣を前にした執務室での会談は、最初は和やかだった。トランプ大統領は、ウクライナの兵士が信じられないくらい勇敢に戦ったと褒めるなど、儀礼的であるにせよ一応気を遣っていた。

他の首脳会談同様、記者からの質問を受ける形で進み、トランプ大統領が最後の質問を受けると言ったとき、バンス副大統領が発言を求め、バイデン大統領の無策を批判しつつ「平和への道は外交を通じて達成されるかもしれない」と述べた。
するとそれに対してゼレンスキー大統領は鋭く否定的に反応した。「2014年のクリミア侵攻以来、米国大統領は誰もロシアを止められなかったのに、どのような『外交』のことを言っているのか」と詰問したのである。しかも「バンス副大統領」と呼ぶべきところを「J.D.」(ファーストネームとミドルネームのイニシャル)と失礼ともとれる呼びかけであった。
バンス副大統領も、あなたの国が破壊されるのを終わらせるための「外交」のことを言っていると言い返したうえで、「大統領執務室において、多くの記者団を前に招いてくれた人たちを相手に論争を挑もうとするのは失礼ではないか」と述べた。
その間、トランプ大統領は、口をへの字にして黙って聞いていたが、ゼレンスキー大統領が「米国は海を隔てているから今は問題を感じないかもしれないが、将来は感じるだろう」と、脅迫めいたことを言うに及んだとき、トランプはついに口を挟み、「我々がどう感じるかとやかく言う立場にはあなたはなく、そもそもウクライナは弱い立場にある」と釘を刺した。また、「ゼレンスキー大統領は、何百万もの人々の命や第三次世界大戦の可能性を弄んでいる」と述べた。