2025年4月9日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年3月3日

 2025年2月13日付のウォールストリート・ジャーナル紙 は、トランプ・プーチン会談の開催が合意されたが、これこそプーチンが長く求めてきた会談であると解説している。

ロシアによる空爆で大きな被害を受けたウクライナの民間住宅地(Global Images Ukraine / 寄稿者/gettyimages)

 トランプ大統領がロシアとの和平交渉を発表したことで、プーチンは長らく求めて来たものを手に入れた。ウクライナをめぐる米国との直接交渉だ。しかし、ウクライナに関するプーチンの立場に鑑みれば、米国との交渉は長期戦になりそうだ。

 ロシアは、米国がウクライナへの支援を止め、キーウの領土防衛能力に制限が課せられた場合にのみ停戦に同意するだろう。戦場ではロシア軍が前進し、ウクライナでは戦闘終結への国民の支持が高まる中、アナリストらは、プーチンは長期戦を続け、自身の要求が満たされるまで米国と交渉を続けるつもりだとしている。

 欧州諸国は、ウクライナをめぐる米露二国間協議というトランプの発想に懸念を表明した。欧州とウクライナは、戦争終結の交渉に自らが関与することを求めている。

 ロシアは 22年2月のウクライナ侵攻に先立ち、北大西洋条約機構(NATO)を東欧から追い出すことや、ウクライナがNATOに加盟しないという保証を得ることなど、一連の非現実的な要求を提示していた。今やプーチンは、トランプからそのような譲歩を引き出せると期待している。

 プーチンは米国との直接交渉を、第二次世界大戦後になされたような地政学的合意を達成する好機と見ている。プーチンは、トランプが 11月の選挙で勝利した数日後から、トランプを味方につけることを狙った微笑み外交を始めた。

 ロシアはウクライナ問題で対話する用意があるとし、20年の選挙は不正で、トランプが当選していたらウクライナ戦争は起こらなかっただろうとするトランプの主張を繰り返した。トランプは、プーチンと近くサウジアラビアで会談する予定だと述べている。


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