2024年4月20日(土)

田部康喜のTV読本

2023年2月5日

 「ブラッシュアップライフ」(日本テレビ、日曜よる10時30分)は、安藤サクラが、死んでは過去の自分と同じ父母のもとに生まれる輪廻(りんね)の物語である。主人公の近藤麻美(あーちん、安藤)は、生まれ変わっても過去の記憶が残っている。

(mixmagic/gettyimages)

 脚本のバカリズムは「素敵な選TAXI」(2014年)で、竹野内豊主演のタクシー運転手が不運に陥った乗客をもとの時間に戻して、“素敵な”人生を取り戻させた。見知らぬ世界にいざなうタイムマシーンものとは、一味違ったコメディ。有料配信サービスでいまも人気のドラマである。

 今回の「ブラッシュアップ」のなかで、ドラマファンの主人公・近藤麻美(あーちん、安藤)と友人たちが高校時代にドラマの批評ノートを交換しているなかで、「竹野内豊ファンだったね!竹野内カタルシス!だった」と冷やかすシーンがある。

バカリズム作品に集まる「現代女優図鑑」

 麻美(安藤)は現代では33歳。死んで過去に戻って、現代に向かうなかで、その時その時で流行したポップスや、ドラマ、テレビのニュースの事件などが振り返えられる。携帯もガラ系からスマートフォンに。アラサー女子にはたまらないところだ。

 麻美(安藤)を取り巻く、友人たちや職場の女性たちに旬の女優陣が次々と現れる。ドラマは「美少女図鑑」ならぬ「現代女優図鑑」の様相である。

 麻美の幼馴染に門倉夏希(なっち)役の夏帆と、米川美穂(みーぽん)役の木南晴夏。友達に森山玲奈役の黒木華。妹・遥役に志田未来。あーちんが市役所に勤めていた人生の時代の友人に三浦透子。女同士の連続した会話と笑いのシーンもドラマを楽しく仕上げている。

 これらの女優陣は、映画の是枝組や濱口組、岩井組などのメンバーで、数々の国際的な映画祭の受賞作品に登場している。日本を代表する女優陣がバカリズム作品の参加を望んでいることにも驚かされる。

 そして、ドラマのワンカットで膝から下とハイヒールしか映っていない、謎の女役に水川あさみが起用されている。あーちん(安藤)の生き返りのドラマのなかに、ミステリーが埋め込まれている。輪廻の物語は、中盤から大きな転換を迎える予感がする。


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