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田部康喜のTV読本

2022年11月26日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 「クロサギ」(TBS・金曜よる10時)は、2006年版のリブート(本筋は変わらないが物語性と配役の性格などに変化がある)である。単なるリメークではない。

(bee32/gettyimages)

「世の中には3種類の詐欺師がいる。人を騙し金銭を奪う『シロサギ』、
 色恋を餌とする『アカサギ』、
 そして、この世の中で一羽だけシロサギとアカサギだけを餌として食らう、
 最強の詐欺師がいる。
 詐欺師を騙す詐欺師、
 その名はクロサギ」

 主人公のクロサギ・黒崎高志郎(平野紫耀)に心を寄せる、検事志望の法学部3年生・吉川氷柱(よしかわ・つらら・黒島結菜)のナレーションが毎回のイントロに入るのは、06年版の堀北真希と同じである。物語の導入部としては、印象的である。

2006年版との違いも楽しみ

 「クロサギ」は、詐欺師が最後に明るく笑う〝コーンゲーム〟ではない。脚本は、前作と同じ篠崎絵里子である。投資詐欺やオレオレ詐欺など、詐欺は身近になった。

 前作には、クロサギ・黒崎(ヤマピーこと山下智久)がなぜ、詐欺師の人生を歩むようになったのか、その謎解きと彼が仕掛ける詐欺の痛快さがあったように思う。山下の感情を抑えた演技と、可憐な堀北真希の感情の絡み合いも描かれていた。

 今回の「クロサギ」は、サスペンスの〝倒序法〟つまり、なぜ黒崎(平野)がクロサギになったのか、先に明らかにされた。父親がセミナー詐欺によって金銭を巻き上げられ、挙句の果てに、父親によって一家心中が図られ、黒崎ひとりが生き残ったのである。

 家族を奪った、詐欺の首謀者である大物詐欺師・御木本(坂東彌十郎)を破滅においこむために、表の顔は菓子店主で、裏の顔は詐欺業界のフィクサー・桂木敏夫(三浦友和)に詐欺師としての手法を習ってきたのだった。黒崎の親代わりといってもいい存在である。


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