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田部康喜のTV読本

2022年10月30日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 「アトムの童(こ)」(TBS・日曜劇場)は、自分たちがかつて開発したゲームのアイデアを横取りされて、業界の大手にのし上がった巨人に、山﨑賢人と松下洸平のコンビがリベンジを狙う青春大作ドラマである。

(DisobeyArt/gettyimages)

 マニアの少なくない、ミニチュアキャラクターを製造していた町工場を継いだ、岸井ゆきのが最先端のゲームにかける。父の風間杜夫、工場の従業員に個性派俳優のでんでんと塚地武雄、そして、山崎・松下コンビの敵役にオダギリジョーらを配して、次の展開が待ち遠しい作品に仕上がっている。

 ナレーションをいまや、舞台チケットが売り出しと同時に瞬間蒸発する、講談師・神田伯山を起用しているのも、卓抜にしてフィットしている。

 ドラマは、動画配信サービスの「Disney+」によって世界配信される。世界のゲーム人口は約30億人といわれる。大手ゲーム企業に入社しないで、独自に開発をしている「インディーズ」のなかから、ヒット作を飛ばす時代である。

開発したゲームの全てを奪われる

 山崎賢人が演じる、天才ゲーム開発者の安積那由他(あづみ・なゆた)と、コンビで安積のアイデアを現実の物とする知恵を絞る、松下洸平の菅生隼人(すごう・はやと)は、6年前の学生時代からゲームを自分たちの楽しみのために制作していた。

 ふたりは、「ゲーム業界のバンクシー」と呼ばれ、「ジョン・ドゥ」という〝匿名〟の製作者となっていった。

 ふたりと一緒にいつもゲームで遊んでいた、緒方公哉(おがた・こうや:柳俊太郎)が、ふたりの才能に気づき、開発したゲームづくりの資金を集めようとする。

 基本設計がほぼ完成したゲーム「Slide Boon:スライドブーン」を販売するために、ゲームの質を上げる資金の援助を求めたのが、インターネット検索サービス企業で、ゲーム業界に乗り出そうとしていた、「SAGAS」の社長である、興津晃彦(おきつ・あきひこ:オダリギリジョー)だった。

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