2024年12月22日(日)

日本の漁業は崖っぷち

2014年4月15日

 これに対して、ノルウェーのニシン水揚げ推移のグラフを見てください。1950~1970年には100万トン前後の水揚げがあったものの、乱獲でニシンが激減してしまいました。ノルウェーと日本の大きな違いは、ニシンの減少を「環境の変化」のせいなどにせず「乱獲」と認識し、厳格な資源管理を行い、資源を回復させていることです。

 日本のように、分母が5000トン前後と小さいと、仮に1万トンの水揚げがあれば、2倍になったので「資源回復」と解釈してよいのでしょうか? 本来であれば、最低でも10万トン程度の水揚げを毎年続けられるレベルになって初めて「資源は回復傾向にある」と言えるのではないでしょうか? 本来漁獲をしていなかった場合のもともとの資源量のイメージを持たず、戻すべき資源量の回復目標を低く置けば、目標の達成は容易になります。しかし、そんな低い目標を達成しても何も変わらないのです。

 ニシンだけではありません。これまでキチジ東シナ海(=以西)の水揚げハタハタを始め、すでに多くの資源を減少させてしまいました。水揚げ量と金額(水産白書)が共に減り続けて、漁業者を、そして地域を衰退させてしまったのです。戻したい資源量は20年前の、すでに乱獲で低くなっているレベルではないはずです。これらの数字は学校でいえば親にとって見過ごせない成績表であり、企業であれば株主にとって容認しがたい決算書なのです。

2030年時点でも日本の水揚げは減少予想

 日本は世界三大漁場の1つを持ち、しかもそれがFAO(国連食糧農業機関)によれば、世界で最も生産性の高い水域とされています。それにもかかわらず魚が減っていき、漁業者が「獲れない、安い、売れない」と嘆くには理由があるのです。水産業にとって最高の環境が与えられているのに、なぜ真逆の結果となってしまっているのでしょうか?


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