2025年6月22日(日)

日本のコンテンツ

2025年6月9日

「2000年代以降、インターネットの普及で様々なプラットフォームが出現して、誰もが発信者としてSNSなどにコンテンツを発表できるようになった。著作権などの権利について学ぶことは、皆が避けて通れない時代になった」

ChatGPTを用いてゼロから生成した女性の画像(左)と、それをジブリ風イラストに変換した画像(右)(WEDGE)

 アート関連の法律に詳しい小林・弓削田法律事務所(東京都港区)の木村剛大弁護士はそう指摘する。発信者としてのみならず他者の作品に触れる機会も増え、無自覚に〝当事者〟となる可能性があるのだ。

 今年3月25日、OpenAIはChatGPTの新しい画像生成機能「4o Image Generation」をリリース。読み込ませた画像を無料で簡単に〝ジブリ風〟に変換できるようになり、世界的な話題となった。SNS上はジブリ風イラストで溢れ返ったが、同時に「著作権侵害に当たるのでは」との声も多く上がった。スタジオジブリは「特にコメントすることはない」としている。

 「著作権法上、一定の条件をみたせば、AIの学習データとして他者の著作物である文章や画像を複製することができる。また、AIを使う、使わないにかかわらず、筆のタッチや色味などの〝画風〟はアイデアの範囲にとどまり、著作権で保護されない。厳密には個別の検討が必要だが、ジブリの画像を学習したAIにより、ジブリ風イラストを生成することは、具体的な表現のレベルにおいて元の画像と共通する部分が生成されなければ、著作権侵害にならない可能性が高い」(木村氏)

 では、AIが「無(ゼロ)」から「有(イチ)」を作成したAI生成物には著作権は発生するのか。

「AI生成物には著作権が発生しないと誤解している方もいるかもしれないが、そうとも限らない。人の創作意図があり、プロンプト(指示文)の分量や内容、生成の試行回数や、AI生成物に対してさらに人の手で修正や工夫を加えたかなど、創作過程に人による『創作的寄与』があれば著作権が発生する余地がある」

 だが、現時点でAI生成物の著作物性に関する日本の裁判例はなく、著作権がどの程度認められるかは不透明だ。


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