2024年11月22日(金)

ベストセラーで読むアメリカ

2009年5月27日

質問に答えない、
客にしゃべらせる、
あえてくだらない質問を

 セールストークに関する実用的なアドバイスも多い。例えば、
    Rule #12 Answer every question with a question (p58)
      「すべての質問には質問で答えろ」
では、顧客が発した質問に、まともに答える危険性を指摘する。顧客がどのような意図で質問しているかを見極めずに答えると、思わぬ失敗につながるからだ。

 例としてあげられているのは、マーケティング会社の営業マンと、レストラン経営者との会話。 レストランの宣伝キャンペーンでどれだけ経験があるのか聞いてきたのに対し、営業マンが多数のキャンペーンを手掛けていると答えたところ、経営者は「他のレストランで使った手法を使い回しされたら困る」と難色を示す。質問の背後にある顧客の真意が分かるまで、なぜそのような質問をするのかなど、営業マンは質問には質問で答えるように勧める。

 本書では随所で、商談では顧客の方に語らせることにより、顧客のニーズや事情などを聞き出し、円滑な営業活動につなげる重要性も強調する。

 David Sandler suggested that the prospect should be talking about 70 percent of the time. (p66) 「デイビッド・サンドラーは、(商談の)時間の70%は顧客がしゃべるべきだ、と教えていた」という。顧客がしゃべることで、顧客自身に自社のニーズなどを再認識させ商談成立の可能性を高める戦略だ。

 他にも、You must learn to be brave enough to ask the “dummy question.” Then wait out the silence! (p78) 「くだらない質問をする勇気を持つことを学ばなければならない。そして、沈黙に耐えじっとしていなさい」ともアドバイスする。

 営業活動に熟練すればするほど、流れるようなセールストークを繰り出せるようになるかもしれないが、顧客の思いを引き出すためにも、あえて間の抜けた質問をする勇気を求める。よぼよぼのコートを着て、一見くだらない質問を連発し犯人を追いつめていく「刑事コロンボ」を見習えという。


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