本書ではこのほか、次のような意味深な助言が並ぶ。
Rule #2 Don’t spill your candy in the lobby (p17)
「ロビーでお菓子をばらまくな」
Rule #9 Every unsuccessful prospecting call earns compound
interest (p48)
「勧誘電話は失敗しても複利効果を生む」
Rule #37 All prospects lie, all the time (p151)
「顧客はみな常にウソをつく」
その意味するところに関心がある向きは、本書を一読されることをお勧めしたい。最後に、本書から次のアドバイスを紹介して本稿を終わりたい。
Rule #41 There are no bad prospects - only bad salespeople (p165)
「悪いお客さんなどいない。駄目なセールスマンがいるだけだ」
営業がうまくいかないと、営業マンは売り上げ不振を他人のせいにしがちだ。頭が固く優柔不断なお客のせいにしたり、担当エリアが悪いと愚痴ったり、景気が悪いからしかたないとあきらめたりする。果ては自分の上司のせいにする傾向がある。本書は、売れない責任はすべて自分自身にあることを強調し、営業マンによる責任転嫁を次のように厳しく戒めている。
If you point the finger of blame at the prospect, you deprive yourself of the opportunity to learn from the mistake, which means you’re destined to repeat it. (p166)
「お客に責任をなすりつけると、(営業の)失敗から学ぶ機会を逸し、同じ失敗を繰り返すことになる」
アメリカのセールスマンだけでなく、日本の多くの営業マンたちにとっても、耳の痛い指摘だろう。しかし、あくまでも成功する営業マンの育成を目指す本書には、親身な助言がたくさん盛り込まれており、本書を読み励みとしているセールスマンがアメリカに多数いることは想像に難くない。
(筆者注)正確にはprospect は、これから商品を買ってくれそうな人、を意味し、すでに取引があるcustomerとは区別する言葉です。本稿では読みやすさを優先し、prospectも顧客などと訳しました。
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